日本テレビ「DayDay.」・フジテレビ「Live News イット!」出演、日本テレビ「news every.」コメント出演
結論から。AGA治療が怖いのは、薬が危険だからではなく、中身がわからないからです。人はリスクの大きさではなく、「わからなさ」の大きさで怖がります。そして、医師でない方が薬を完全に理解するのは無理で、それは当然のことです。必要なのは勉強ではなく、副作用が出たときに気づける「目印」を持っておくことと、それを伝えられる医師がいること。この記事では、診察室で実際に聞く「怖い」の中身、実際の数字、目印の持ち方、そして医師である院長が本当に怖いと思っているもの——個人輸入の薬——について解説します。
「AGA治療、興味はあるけど怖い」。検索してここに来た方の多くが、そう感じているはずです。副作用の話を読むほど怖くなり、体験談を見るほど不安になる。それでいて、何が怖いのかを説明しようとすると、うまく言葉にならない。この記事は、その「うまく言葉にならない怖さ」を扱います。怖がらなくていい、とは言いません。怖がる相手と、怖がり方を整理します。
診察室で聞く「怖い」の中身は、この6つ
数字で見ると、こうなる
正しく恐れるとは、「目印」を持つこと
医師が本当に怖いのは、個人輸入のほう
完全に理解する必要はない。そのために医師がいる
よくある質問
まとめ
「怖い」の正体は、リスクの大きさではなく「わからなさ」
お酒は、体に良くないと誰もが知っています。肝臓に負担がかかり、飲みすぎれば病気にもなる。それでも、お酒を「怖い」と言う人はほとんどいません。理由は単純で、どのくらい飲むとどうなるか、程度がわかっているからです。
逆に、中身のわからないものは、実際の危険よりずっと大きく見えます。「健康に悪そう」という感覚だけがあって、何がどう悪いのかは見えない。この状態では、恐怖に上限がありません。AGA治療の薬が怖いのは、まさにこの状態です。薬そのものの危険度ではなく、中身が見えないことが怖さを作っています。

診察でよく使う例えがあります。交通事故が怖くて外出しない、という人はいませんよね。外に出れば事故に遭う可能性はゼロではありません。それでも人は外出します。危険があるかないかではなく、どのくらいの危険で、どう注意すればいいかを知っているからです。薬も同じで、「怖いからやらない」は、実は答えになっていません。私は医師なので、AGA治療の薬について正しく理解して、正しく恐れています。怖がっていないのではなく、怖がる場所を知っているのです。
この記事でやりたいのは、怖さをなくすことではなく、怖さの置き場所を正しい位置に動かすことです。
当院では、院長が毎回、直接診察します。頭皮を拡大して見ないと分からないことが多いためです。初診料・再診料・カウンセリング・血液検査(※医師が医学的に必要と認めた場合)は0円です。
予約の前に聞いておきたいことがあれば、LINEでご相談いただけます(相談だけでも構いません)
診察室で聞く「怖い」の中身は、この6つ
当院で「怖い」とおっしゃる方に、何が怖いのかを聞くと、答えはだいたい次の6つに集まります。漠然と健康に悪そう。一度始めたらやめられなくなりそう。やめたときに、もっと抜けるのではないか。そもそも治るのか。性機能への影響。肝臓への影響。
注目してほしいのは、いちばん多いのが「漠然と健康に悪そう」であることです。性機能や肝臓のように対象がはっきりしている不安は、数字で答えられます。しかし「漠然と」には対象がありません。これは前の章で書いた「わからなさ」そのものです。だからこの記事では、あとの5つに数字と経過で答えたうえで、最初の1つには別の答え方をします。
数字で見ると、こうなる
まず、対象がはっきりしている不安から片づけます。
副作用の頻度。デュタステリド(ザガーロ)の国際共同試験では、何らかの副作用が出た方が17.1%、勃起不全が4.3%、リビドー(性欲)の減退が3.9%、精液量の減少が1.3%でした[1]。裏を返せば、8割以上の方では副作用は報告されていません。出た場合も、多くは減量や薬の変更で対応でき、中止して戻らなかった方は当院では見ていません。薬ごとの数字と対処は副作用の全体まとめにあります。
やめられなくなるのか。やめられます。ただしAGAは進行性の脱毛症なので[2]、やめると元に向かって戻ります。当院の実感では、3ヶ月で抜け毛が増え、6ヶ月でかなり目立ち、12ヶ月で治療前に近い状態になります。これは依存ではなく、薬が効いていたことの裏返しです。当院では解約費用はなく、コースの未使用分は返金します(やめたらどうなるかの詳細)。
やめたらもっと抜けるのか。戻る先は「治療前の状態」です。治療をしていなければそのぶん進行していたはずなので、治療したせいで悪くなる、ということではありません。
治るのか。AGAは「完治」する病気ではなく、薬で進行を止め、発毛を促す病気です。効果は早い方で3ヶ月、多くは6ヶ月で判定します。最初の1〜2ヶ月に抜け毛が増える「初期脱毛」は副作用ではなく、生え替わりが始まったサインです(初期脱毛の解説)。

診察で「怖い」がほぐれる瞬間は、はっきりしています。副作用の実際の数値と、出たときの程度を伝えたときです。「何%の方に、どの程度のことが起きて、そうなったらどうするか」まで話すと、皆さんの顔が変わります。怖さが消えるのではなく、怖さのサイズが決まるからだと思っています。
正しく恐れるとは、「目印」を持つこと
ここからが、「漠然と健康に悪そう」への答えです。
薬を完全に理解するのは無理です。医師でない方には当然ですし、それを求めるつもりもありません。代わりに持っておいてほしいものが一つあります。副作用が出たとき、体に何が起こるかという「目印」です。

正しく恐れるというのは、薬の仕組みを全部覚えることではありません。副作用が悪く出たときに何が起こるかを知っておいて、それを目印にすることです。たとえば肝機能障害なら、食欲不振や倦怠感(だるさ)といったサインが先に出ます。そのサインを見逃さなければいい。これは医学の知識がなくてもできます。目印に気づいたら、私に言ってください。判断はこちらでします。
当院では、この目印とあわせて、治療開始1ヶ月後に副作用の確認をしています。肝機能が気になる方には、郵送キットで肝機能(AST・ALT・γ-GT)を調べる血液検査もあります。医師が医学的に必要と認めた場合は無料、ご希望による検査は1回5,500円(税込)です。
念のために書いておくと、目印は「これさえ見ていれば安全」というものではありません。目印は、診察と検査の間をつなぐものです。気づいたら伝える、伝えたら医師が判断する。その流れがあって初めて、目印は意味を持ちます。
医師が本当に怖いのは、個人輸入のほう
ここまで読んで、「それでも薬は怖い」と思う方もいるでしょう。それは自然なことです。ただ、一つ知っておいてほしいことがあります。医師である院長が本当に怖いと思っているのは、診察を受けて処方される薬ではありません。

私は、個人輸入の薬は怖くて使えません。得体が知れないからです。診察室で処方する薬は、成分も量も、副作用が出たときに何が起こるかも、全部わかっています。だから正しく恐れられる。個人輸入の薬は、その全部がわからない。偽物だから怖いのではありません。効くものが混ざっているのが怖いんです。少し毛が生えれば「本物だ」と思って、中身のわからないものを毎日飲み続けることになる。AGAの薬は毎日飲むものなので、リスクの桁が違います。
実際に、個人輸入の薬を使っていた方が当院に来られることがあります。多くは「効かなかった」と言って来られます。診てみると、薬の中身以前に、量や飲み方が合っていないことがほとんどです。そして本人は、それに気づけません。比べる相手がいないからです。何が正しい量なのか、自分の進行度にその薬が合っているのか、判断する人が途中に誰もいない。これが個人輸入の本当の問題です。個人輸入の薬について詳しくはこちらの記事をご覧ください。厚生労働省も医薬品の個人輸入について注意喚起しています[4]。
つまり、世の中の怖がり方は、少し逆になっています。中身がわかっていて、副作用の数字も目印もある処方薬が怖がられ、中身も量も判断する人もいない個人輸入が怖がられていない。怖さの置き場所を正しい位置に動かす、というのは、こういうことです。
完全に理解する必要はない。そのために医師がいる
最後に、この記事でいちばん伝えたいことを書きます。
ここまで、数字や目印の話をしてきました。でも、それを全部覚えて、自分で判断できるようになる必要はありません。医師でない方が薬を完全に理解するのは難しい。それは当然のことで、そのために医師がいます。目印に気づいたら、伝えてください。合っているかどうか迷ったら、聞いてください。判断は医師の仕事です。
一つだけ、確かめてほしいことがあります。その「判断する人」が、医師かどうかです。クリニックによっては、治療内容をカウンセラーが提案し、医師は最後に短く顔を出すだけ、というところがあります。厚生労働省は2025年8月の通知で、患者の希望を聞いて治療方法を提案・決定する行為は、料金説明の体裁をとっていても医行為にあたると明確にしました[3]。治療の中身を決めるのは、医師でなければなりません。クリニックの見分け方については必要のない治療を勧められたと感じたときの記事もご覧ください。
当院では、初診から治療後のフォローまで、院長が毎回直接診察します。初診料・再診料・カウンセリングは0円です。診察で進行度を確かめて、院長と納得いくまで相談してから決めましょう。もちろんすぐに決めなくても大丈夫です。怖さを抱えたまま、その怖さごと相談に来てください。それが診察の役割です。
よくある質問
Q. AGA治療の薬は、一度始めるとやめられなくなりますか?
いつでもやめられます。ただしAGAは進行性なので、やめると3ヶ月ほどで抜け毛が増え、6ヶ月で目立ち、12ヶ月で治療前に近い状態に戻ります。これは依存ではなく、薬が効いていたことの裏返しです。当院では解約費用はなく、コースの未使用分は返金します。
Q. 肝臓への影響が心配です。血液検査は必要ですか?
肝機能障害は添付文書に「頻度不明」の重大な副作用として記載されている、まれなものです。先に出るサインは食欲不振や倦怠感(だるさ)で、この目印に気づいたら伝えてください。当院では郵送キットで肝機能を調べる血液検査があり、医師が医学的に必要と認めた場合は無料、ご希望による検査は1回5,500円(税込)です。
Q. ネットで買った薬をすでに飲んでいます。診てもらえますか?
診ます。責めることもありません。実際に来られる方の多くは、薬の中身以前に量や飲み方が合っていません。何をどのくらい飲んでいたかを診察で教えてください。そこから、進行度に合った量と種類に組み直します。
Q. 高脂血症などの薬をすでに飲んでいます。これ以上薬を増やしたくないのですが
増やしたくない気持ちは自然ですが、大事なのは薬の数より種類です。AGAの薬は他の薬との相互作用が少なく、短期的にも長期的にも、適切に運用されていれば問題になることはほとんどありません。飲んでいる薬をすべて診察で教えてください。一つひとつの薬の運用と飲み合わせを確認したうえで、加えるかどうかを一緒に決めます。
まとめ
AGA治療が怖いのは、薬が危険だからではなく、中身がわからないからです。わからないものへの恐怖には上限がありません。だから、数字で怖さのサイズを決め、副作用に気づくための目印を持ち、判断は医師に任せる。これが「正しく恐れる」ということです。そして医師が本当に怖いと思っているのは、中身も量も判断する人もいない個人輸入のほうです。怖がる相手が、少し逆になっています。
薬を完全に理解する必要はありません。そのために医師がいます。怖いままで構わないので、その怖さごと診察に持ってきてください。
※この記事は、院長の書籍『薄毛治療のうそ』(2026年10月16日発売・詳細はこちら)で扱う「知識の齟齬」というテーマと連動しています。
参考文献
1. ザガーロカプセル0.5mg 添付文書(国際共同第II/III相試験における副作用発現率).PMDA 医薬品情報検索
2. 日本皮膚科学会「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン2017年版」日皮会誌 127(13):2763-2777, 2017
3. 厚生労働省医政局長「美容医療に関する取扱いについて」令和7年8月15日 医政発0815第21号
4. 厚生労働省「医薬品等の個人輸入について」



