フィナステリドが効かないに考えられる原因と対処法を解説

フィナステリドは日本皮膚科学会も利用を推奨している、AGA治療に高い効果を発揮する治療薬です。

多くのクリニックで処方されており、ミノキシジル外用薬、デュタステリドといった他のAGA治療薬と比べて安価で利用できるので、AGAが進行してからだけでなく、予防目的でも利用されます。

そんな多くの方が利用するフィナステリドですが「効果が実感できない」と感じる方も居るようです。

そこで今回はフィナステリドの効果を「実感できない」「効かない」と感じている方向けに原因や対処法について解説していきます。

著者情報 吉川貴紀AGAマガジン編集部
吉川 貴紀
AGAに悩み様々な薄毛対策グッズを利用しました経験があります。その際に感じた商品の効果や経験者ならでは調査力を活かして、薄毛に悩んでいる読者にわかりやすく役立つコンテンツをお届けします。様々な最新情報もお届けできればと思います。

本当に効いていない?まずはフィナステリドの効果を確認しよう

まず、フィナステリドの効果について確認しましょう。本当に効いているのかどうか判断できるかもしれません。

フィナステリドの主な効果はヘアサイクルの改善です。AGAの原因は「5α還元酵素」にあり、5α還元酵素は男性ホルモンである「テストステロン」と結びつき、「ジヒドロテストステロン」というホルモンを発生させます。

このジヒドロテストステロンが原因でヘアサイクルが乱れ、髪が成長しにくくなる「退行期」と全く成長しない「休止期」が長くなり、髪が成長する「成長期」が短くなります。

フィナステリドは5α還元酵素を抑制するので、ヘアサイクルを改善する効果が期待できます。

一方、発毛を促進する効果が強いわけではありません。フィナステリドだけで発毛を実感できる人も居ますが、かなり薄毛が進行した人が発毛を目指すにはミノキシジル外用薬の併用が一般的です。

「フィナステリドを服用しているのに、あまり髪が生えない」と感じている人は、「フィナステリドはあくまで予防、進行の抑止がメイン」ということを再確認しておきましょう。

フィナステリドが効かない場合に考えられる原因3選

フィナステリドが効かないと感じる場合に考えられる理由は大きく分けて3つあります。

それぞれについて考えていきましょう。

1.服用期間が短い

フィナステリドの効果が感じられるのは、早くとも服用を開始してから3ヶ月程度とされています。人によっては1年程度かかる場合もあります。

数週間、1〜2ヶ月では効果を感じられない方がほとんどなので、まずは最短でも3ヶ月〜半年程度は様子を見てみましょう。

また、フィナステリドはヘアサイクルを整えるにあたって最初の段階で抜け毛が1日200本以上になることもあります。これは「初期脱毛」と呼ばれ、フィナステリドが効いている証拠なので、不安かもしれませんが、継続しましょう。

初期脱毛は1〜2ヶ月程度で終わることが多いですが、3ヶ月以上かかる人も居ます。4ヶ月以上続く方、どうしても不安な方は担当医師に相談しましょう。

2.薄毛の原因がAGAではない場合

「そもそも薄毛の原因がAGAではない」という可能性もあります。

男性の薄毛の多くはAGAが原因ですが、他にも下記のような脱毛症があります。

  • 主にストレスが原因の「円形脱毛症」
  • 原因が未だ不明の「全身脱毛症」
  • 皮脂の過剰分泌が原因の「脂漏性脱毛症」
  • 髪の毛が引っ張られることが原因の「牽引性脱毛症」

AGAは主に前頭部(おでこ)または頭頂部から薄くなることが多く、わかりやすいです。「ハミルトン・ノーウッド分類」というAGAによる薄毛を分類したものもあり、これに当てはまる方は多くの場合、AGAです。

しかし、「一見AGAに見えるが、実は違う脱毛症だった」というケースも稀にあります。不安な方は一度医師に相談してみましょう。

3.個人輸入で入手した場合は粗悪品・偽造品を使っている可能性

フィナステリドを個人輸入で購入した場合、粗悪品である可能性や、そもそもフィナステリドではない偽物を服用している可能性があります。

WHOによると個人輸入で購入される薬が偽物である割合は10%ともされており、個人輸入で購入したフィナステリドが偽造品である可能性も十分にあります。

実際、フィナステリドの先発医薬品(ジェネリックの元となる薬)である「プロペシア」の偽造品が海外において発見されており、そのジェネリック医薬品であるフィナステリドの偽物が出回っていない保証はありません。

特にフィナステリドは内服薬であり、体に入れるものなので、個人輸入は危険です。絶対に購入しないようにしていただきたいですし、現在利用している方は直ちに利用を中止しましょう。

引用:「ORGAN PRO」より

フィナステリドが効かない時の対処法

フィナステリドが効かない場合の対処法は大きく分けて4つあります。

一緒に確認していきましょう。

1.3ヶ月~半年間を目安に毎日服用を続ける

フィナステリドは継続して服用することで効果を発揮するAGA治療薬です。服用している期間が短い場合、まずは3ヶ月〜半年を目安に服用を続けましょう。

「必ず〇〇ヶ月で効果が出る」というものではありませんが、多くの方は半年以内に効果が出ます。

また、半年を過ぎても全く効果が感じられない方は、一度医師に相談してみましょう。

2.効果の近い「デュタステリド」を試してみる

フィナステリドは5α還元酵素を抑制してヘアサイクルを正常に戻すAGA治療薬ですが、「デュタステリド」も同様、またはそれ以上の効果が期待できる治療薬です。

AGAの大きな原因である5α還元酵素にはⅠ型とⅡ型があり、フィナステリドはⅡ型を阻害する効果はありますが、Ⅰ型にはあまり効果が期待できません。一方でデュタステリドはⅠ型とⅡ型の両方を阻害できるので、フィナステリドの効果が実感できない方におすすめしたい治療薬です。

クリニックでの処方の場合、フィナステリドは平均して3,000円〜6,000円/月程度、デュタステリドが5,000円〜8,000円/月と、ややフィナステリドよりは料金が高いですが、デュタステリドの方が体内に留まる時間が長く、より高い効果が期待できます。

また、一説によるとフィナステリドは頭頂部や後頭部の薄毛には高い効果を発揮するが、前頭部(おでこ)の薄毛治療にはデュタステリドの方が効果を期待できるとされており、特に前頭部の薄毛が気になる方はデュタステリドの利用を医師に相談してみましょう。

健康成人にフィナステリド0.2mg及び1mgを1日1回17日間反復経口投与した時、いずれの投与量においても血漿中濃度は投与2~3日目に定常状態に達した。投与17日目における0.2mg及び1mgの血漿中濃度は、投与後1.2及び1.5時間にCmaxに達し、以後4時間のt1/2で消失した。

引用:オルガノン株式会社「フィナステリド錠 プロペシア0.2mg、1mg」より

日本人健康成人に本剤 1~20mg を単回経口投与したとき、最高血清中濃度到達時間(Tmax)は投与後 2.0~
2.3 時間であり、みかけの分布容積(Vd/F)は 232~298L であった。最高血清中濃度(Cmax)は投与量増
加の割合で増加した。また、終末相の消失半減期(t1/2)は 89~174 時間であり、消失は非線形であった。

引用:グラクソ・スミスクライン株式会社「5α還元酵素1型/2型阻害薬 男性型脱毛症治療薬 デュタステリドカプセル ザガーロ0.1mg、0.5mg」より

3.早く発毛を実感したい場合は「ミノキシジル」を併用する

早く発毛を実感したい場合は「ミノキシジル」の外用薬を利用してみましょう。

ミノキシジルの外用薬は発毛促進効果が期待できる治療薬で、日本皮膚科学会も利用を推奨しています。

国内では,1%,および 5%ミノキシジル液を用いた,300 名の男性被験者を対象とした観察期間 24 週までのランダム化比較試験が行われ54),脱毛部 1 cm2 内の非軟毛数のベースラインからの増加は,1%ミノキシジル群が平均 21.2 本,5%ミノキシジル群が平均 26.4本と,5%ミノキシジル使用群で有意(p=0.02)に増加した.

引用:日本皮膚科学会「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017 年版」より

ミノキシジルに期待できる効果には主に血管の拡張と細胞分裂の促進があります。

血管が拡張されると、その分運ばれる血液が増え、運ばれる栄養素も増えます。もちろん頭皮に届く栄養も増えます。

また、毛母細胞という髪の毛元となる細胞に働きかけ、細胞の増殖やタンパク質の合成も促進します。いずれの作用も発毛に関係しており、多くの方が発毛を実感しています。

ミノキシジル外用薬は別名「発毛剤」とも呼ばれています。詳しくは下記記事を参考にしてみてください。

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4.AGAクリニックで相談する

AGAクリニックで相談するのが最も手っ取り早い対処法です。もし個人輸入で薬を購入している場合、一刻も早く相談した方が良いですし、すでにAGAクリニックを利用している方も、治療の経過に不安を覚えている方は医師に再度相談してみましょう。

また、フィナステリドなどのAGA治療薬を処方してくれるのはAGAクリニックだけでなく、皮膚科や内科などの病院もあります。しかし、ごく稀に「AGA治療薬を処方しているものの、実はそこまで詳しくない」という医師も居ます。

現在内科などでフィナステリドを処方されており、「この先生、本当にAGAに詳しいのかな?」と不安に感じる方は一度、無料でカウンセリングを提供しているAGAクリニックで相談してみるのも選択肢の1つです。

まとめ

今回はフィナステリドが効かないと感じる方向けに、AGAが効かないと感じる理由や対処法についてご紹介しました。

フィナステリドは日本皮膚科学会も推奨しているAGA治療薬ですが、全ての人が効果を実感できるわけではありません。

個人輸入などで購入した薬を半年以上服用している方の場合、偽物の薬を発送されている可能性もあります。

効果が感じられない方は、一度AGA専門のクリニックで相談してみるのもおすすめです。