AGA(男性型脱毛症)は男性に見られる脱毛症の一種で、発症すると急激に進行することなく徐々にかつ確実に進行することが特徴です。AGAを完治させることは難しいですが、AGAの進行を遅らせるにはAGAクリニックなどの専門機関で治療を受ける必要があり、通常は投薬治療から始めることが一般的です。
AGA治療を始めてしばらく経つと一時的に抜け毛の量が増える方がおり、この症状のことを初期脱毛と呼びます。AGA治療中の初期脱毛が起こる原因や終わる兆候、抜け毛がひどい場合の対処法などについて詳しく解説します。
目次
AGA治療と初期脱毛の関係とは
初期脱毛は、AGA治療を始めた初期の段階で見られる、一時的な抜け毛量の増加のことです。実際に、AGAの治療を受けた方の多くが初期脱毛を経験しています。AGA治療と初期脱毛との関係には、ヘアサイクルの仕組みが大きく関係しています。
ヘアサイクルは、髪の毛が生えてから抜け落ちるまでの周期のことです。大きく分けると髪の毛の成長期、退行期、休止期があり、2年から5年(女性の場合は3年から6年)でヘアサイクルが一周し新たな髪へ生え変わります。
ヘアサイクルのおよそ85%~90%が毛髪の成長期にあたりますが、何らかの原因でヘアサイクルが乱されると、AGAを始めとした脱毛症の発症リスクが高くなります。
AGA治療にての初期脱毛が起こる理由
AGA治療中の初期脱毛は、治療薬の古い毛が新しい毛を押し出す発毛促進効果によって発症します。 AGAの治療には、ミノキシジルやフィナステリド、デュタステリドなどの治療薬が用いられます。
ミノキシジルは発毛を促進する「攻めの治療薬」であり、フィナステリドやデュタステリドは、抜け毛を予防する「守りの治療薬」です。
治療薬を服用して新たに髪の毛が生えてくると、細くて弱々しくなった髪の毛が、太く・強く成長した髪の毛に押し出されるため、通常のヘアサイクルを終える前に髪の毛が抜け落ちます。それがAGA治療を開始してしばらくすると見られる初期脱毛のメカニズムです。
初期脱毛の期間|いつからいつまで
初期脱毛の期間は、以下の表のとおりです。
初期脱毛開始の目安 | 治療開始からおよそ2週間から1ヶ月 |
初期脱毛減退の目安 | 治療開始からおよそ1ヶ月半~3ヶ月 |
初期脱毛の開始時期および減退時期には個人差がありますが、一般的には治療を開始してからおよそ2週間~1ヶ月で初期脱毛が始まり、その後4週間~8週間ほど抜け毛が続く傾向にあります。
髪の毛が抜ける量にも個人差があり、多量の髪の毛が抜ける方もいれば、それほど抜けない方もいるようです。 治療中に初期脱毛が起こった場合、AGA治療薬に効果がないのではと疑い服用を中止してしまう方もいます。
初期脱毛は治療薬による発毛効果の過程でもあるため、自分の判断で服用を中止するのは避けましょう。心配な方は担当医に相談することがおすすめです。
初期脱毛が起こらない場合もある
AGAの治療を開始すると、2週間から1ヶ月ほどの間に初期脱毛が始まりますが、中には初期脱毛が起こらない方もいます。初期脱毛が起こらない理由としては、次のようなケースがあげられます。
- 薬の効き目と抜け毛との間に相関関係がないこと
- AGAの初期に治療を開始したこと
AGAの治療薬には毛髪の成長を促進したり、発毛を促したりする作用がありますが、抜け毛を引き起こすような作用はありません。初期脱毛が見られる場合はもちろん、初期脱毛が起こらなくても、治療薬の効果がないと自分で判断するのは禁物です。
AGAの初期に治療を開始した場合、治療の効果が早くあらわれる傾向にあるため、抜け毛量の増加に気づかないことがあります。
AGAの初期脱毛に関するネガティブ・不安な声
AGAの初期脱毛に関する、患者さんからのネガティブ・不安な声をいくつか紹介します。
AGA治療の初期脱毛やばすぎてメンブレしてる
引用元:Twitter
実はAGA治療をしているのですが、初期脱毛がすごい。大丈夫なのだが、大丈夫だろうかと心配になる。
引用元:Twitter
ガチで怖い。AGA治療を本格的にしようと1ケ月前からデュタステリド0.5mgとミノキシジル2.5mgを毎日服用。初期脱毛あると聞いてたけど信じられないほど髪の毛抜けてヤバいくらいきてる。ほんまにやばい…ほんまに初期脱毛だけで回復するんか?このままだとほんまにやばいぞ…ほんまに…マヂやばい…
引用元:Twitter
初期脱毛は治療薬の副作用であるとわかっていながらも、実際に発症すると不安に感じる方も多く見られます。初期脱毛が止まらない、抜け毛の量が変わらないなどトラブルの際は担当医へ相談するようにしましょう。
AGAの初期脱毛に関するポジティブな声
AGAの初期脱毛について、次のようなポジティブな声も紹介します。
ミノタブを飲むと2週間くらい抜け毛の量が増える「初期脱毛」の期間があります。 が、初期脱毛は必ず起きるわけではないみたいです。 確率的には五分五分でしょうか(そう言っている人がいます)。 私は幸運にもしっかりと初期脱毛がありました!
引用元:Twitter
湯船が以前より汚れるなぁと思ったら、これはAGA治療による初期脱毛らしい。坊主なので気づかなかったけど、薬が効いてる証拠。
引用元:Twitter
AGA治療を始めて「初期脱毛」にビビってやめちゃう人がいるけど、マジでやめたらあかん!乗り切ってくれ。薄毛治療で髪の毛がバンバン抜けるんは矛盾してるけど、筋肉痛みたいなもんやねん。生まれ変わるためには、古い髪の毛とはさよならして、迎え入れる準備が必要。
引用元:Twitter
AGA治療薬が効いている証拠と初期脱毛を割り切って受け入れているAGA患者の方の声も見られました。
AGA治療薬別の初期脱毛症状
厚生労働省が認可しているミノキシジル外用薬・デュタステリド錠・フィナステリド錠の3つのAGA治療薬の初期脱毛症状について特徴を紹介します。
ミノキシジル
ミノキシジルには発毛促進効果があり、初期脱毛が起こりやすいと考えられます。 ミノキシジルには血管を拡張し、血液の循環を促進する作用があります。ミノキシジルを服用している方の多くに発毛が見られたことから、低用量のミノキシジル外用薬が開発された経緯があります。
参考:ミノキシジルが効かない人の原因や対処法を解説
ミノキシジルの作用で頭皮へ送られる血液の量が増加すると、頭皮環境を整え、髪の毛の成長を促進する効果が期待できます。ミノキシジルには、IGF-1(インスリン様成長因子)やVEGF(血管内皮細胞増殖因子)など、発毛シグナルの産出を促進する働きもあるため、効果的に発毛を促すことが可能です。
日本皮膚科学会が策定するAGAの診療ガイドラインでも、ミノキシジルは推奨度Aの、AGA治療に使うことを強く勧める治療薬とされています。その分だけ、初期脱毛も起こりやすいと考えられます。
参考:ミノキシジルの副作用と効果について解説
デュタステリド・フィナステリド
デュタステリドやフィナステリドには主に脱毛防止の効果があり、服用によって初期脱毛が起こることは多くないと考えられています。 AGAの発症には、男性ホルモンの一種であるジヒドロテストステロン(DHT)が深く関わっています。
ジヒドロテストステロンは、男性ホルモン受容器と結合し、抜け毛の原因となる有害なサイトカインを産生するため、ジヒドロテストステロンの量が増えると、AGAの発症リスクが高くなります。
デュタステリドやフィナステリドに期待される効果は、ジヒドロテストステロン(DHT)の産生を抑止し、抜け毛を未然に防ぐことです。発毛を促進するミノキシジルとは作用機序が異なっているため、デュタステリド錠やフィナステリド錠を服用しても、初期脱毛の症状が見られることは多くありません。
参考:フィナステリドの服用をやめたらどうなるのか解説
AGA治療の初期脱毛が止まらない・ひどい場合の原因
AGA治療薬を服用中の初期脱毛が止まらない・ひどい場合に考えられる原因を紹介します。 初期脱毛に関するネガティブな口コミもあり、初期脱毛がひどくて大丈夫か心配な方もいます。
AGA治療の初期脱毛が止まらない、ひどい場合の原因として、生活習慣の乱れや頭皮環境の悪化、AGA以外の抜け毛の可能性などが疑われます。それぞれについて詳しく見ていきましょう。
生活習慣の乱れ
AGA治療の初期脱毛が止まらない・ひどい場合、生活習慣の乱れが疑われます。過度のダイエットや暴飲暴食、偏った栄養バランスの食事などを続けていると、髪の毛の成長に必要な栄養が不足し、抜け毛のリスクを高める可能性があります。
寝不足や疲労など身体的なストレスも抜け毛のリスクを高めるので、初期脱毛が止まらないときは、生活習慣を見直してみましょう。
頭皮環境の悪化
AGA治療の初期脱毛が止まらない・ひどい原因の1つが頭皮環境の悪化です。頭皮は髪の毛が育つ土壌のような場所で、頭皮環境が悪化すると、髪の毛の成長に悪影響を及ぼし、抜け毛のリスクを高める傾向にあります。
頭皮環境が悪化する理由は、肌質に合わないシャンプーや誤ったヘアケア、頭皮の乾燥、喫煙などです。
AGA以外の理由で抜け毛が発生している
AGA治療の初期脱毛が止まらない・ひどい場合、AGA以外の理由で抜け毛が発生している可能性も疑われます。抜け毛を引き起こすAGA以外の脱毛症が、粃糠性脱毛症(ひこうせいだつもうしょう)や円形脱毛症、牽引性脱毛症などの病気です。
精神的なストレスも抜け毛のリスクを高める原因です。ストレスで自律神経のバランスが乱されると、全身の血液の循環に悪影響をおよぼす傾向にあります。頭皮へ送られる血液の量が減少すると、髪の毛が成長するために必要なエネルギーが不足し、結果として抜け毛のリスクが高くなります。
個人輸入によるAGA治療薬での初期脱毛は対処が難しい場合もあるため要注意
AGAの治療薬やジェネリック医薬品は、海外からも個人輸入で購入できますが、個人輸入によるAGA治療薬での初期脱毛は対処が難しい場合もあるため注意が必要です。AGA治療専門のクリニックや病院で治療薬を処方された場合は、不安な点があればすぐに相談して対応してくれます。
個人の判断で治療を開始した場合は、すぐの対処が難しい場合もあります。海外製のジェネリックは粗悪品や偽物も混じっているため、治療薬の効果か副作用か、個人では判断できないこともあるでしょう。AGA治療にて後悔しないためにも、AGAや薄毛を自力で治そうとするのではなく、はじめから専門の機関で治療することがおすすめです。
AGA治療の初期脱毛中に薄毛を隠す対策
AGAの治療中に起こる初期脱毛は、治療薬が効果を発揮している証拠です。しかしAGAの初期脱毛に関するネガティブな声でもあったように、初期脱毛による薄毛が気になる方もいます。そこで、初期脱毛中に目立ってしまう薄毛を隠す対策について紹介します。
帽子やカツラを着用する
初期脱毛中に薄毛が目立ち始めたら、帽子やかつらを着用することがおすすめです。中折れ帽やパナマハットなどをうまく利用すれば、薄毛を目立たなくさせるだけでなく、オシャレな印象を与えられます。
男性用のカツラやウィッグにもたくさんの種類があるので、気分を転換する目的で利用するのもよいでしょう。カツラやウィッグを利用する際は、頭皮の蒸れに気を付けましょう。頭皮が蒸れると細菌が繁殖し、かえって抜け毛のリスクを高める可能性もあります。
薄毛が目立ちにくい髪型へ変える
AGA治療の初期脱毛中に薄毛を隠す対策として、薄毛が目立ちにくい髪型に変える方法があります。薄毛が目立つと髪の毛を伸ばして隠したくなりますが、中途半端に髪の毛を伸ばすと、かえって薄毛が目立つため注意が必要です。
薄毛を目立たなくさせるヘアカットの方法や髪のセット方法を紹介します。
- サイドや襟足を刈り上げる
- 前髪を立ち上げる
- 髪の毛の流れをあえて不規則にする
サイドや襟足を刈り上げ前髪を立ち上げると、髪の毛のボリュームが増した印象を与えられるでしょう。髪の毛の流れをまっすぐではなくあえて不規則にすると、地肌が透けて見えるのを避けやすくなります。
AGA治療中の初期脱毛に関するよくある質問
AGA治療にともなう初期脱毛は治療薬が効いている証拠だとは分かっていても、不安を感じる方は多いようです。そこで、AGA治療中の初期脱毛に関するよくある質問を紹介します。初期脱毛の特徴が分かれば、安心してAGA治療を続けられるでしょう。
AGA治療の初期脱毛ではどんな毛が抜ける?
AGA治療の初期脱毛で抜けるのは、細くて弱々しくなった短い髪の毛です。AGAが進行すると、ヘアサイクルのうち成長期が短くなるため、髪の毛が十分に成長しなくなり、徐々に頭皮が目立つようになります。
AGAの治療薬が効いてくると、頭皮下で太くて丈夫な髪の毛が成長を始めます。もともと生えていた弱々しい髪の毛が、新たに生えてきた健康な髪の毛に押し出されることが初期脱毛のメカニズムです。細くて弱々しい短い髪の毛が抜け始めるのは、AGAの治療薬が効いている証拠です。
AGA治療の初期脱毛を防ぐ方法はある?
AGA治療の初期脱毛を防ぐ方法はありません。AGA治療にともなう初期脱毛は、治療薬が効いてきている証拠です。初期脱毛が起こった場合、AGA治療の効果が確実に上がっているのだと理解し、経過を見守るようにしましょう。
抜け毛の量があまりにも多い場合や、かえって薄毛が進行しているのではないかと心配な場合は、担当の医師に相談するとよいでしょう。AGA治療専門のクリニックでは、薄毛に関するプロフェッショナルである専門医が頭皮や髪の毛のあらゆる不安に答えてくれます。
AGA治療の初期脱毛が終わる兆候は?
目で見てハッキリと分かるようなAGA治療の初期脱毛が終わる兆候はありません。初期脱毛自体は、AGAの進行で弱くなった細い髪の毛が抜け終わるタイミングで終了する傾向にあります。
健康な髪の毛も1日あたり50本から100本ほど生え替わっているため、初期脱毛が終わったタイミングを正確に見定めるのは難しいです。 初期脱毛が終わるのは、一般的にAGAの治療を始めてから1ヶ月半~3ヶ月とされています。その期間を初期脱毛が終わる目安だと考え、時期が過ぎても抜け毛の量が変わらないようであれば、担当の医師に相談するとよいでしょう。
女性でもAGA治療中の初期脱毛は起こる?
女性であっても薄毛(FAGA・女性男性型脱毛症)の治療を始めると、初期脱毛が起こります。女性に初期脱毛が起こるメカニズムは、男性の場合と同様で、弱くなった髪の毛が新しく成長した強い髪の毛に押し出された結果です。
急に抜け毛の量が増えると心配になるかもしれませんが、初期脱毛は治療薬が効いている証拠だと理解し、経過を見守るようにしましょう。薄毛部分が目立つ場合は、ウィッグを利用する方法もあります。
AGA治療の初期脱毛で髪の毛はどれくらい抜ける?
AGA治療の初期脱毛で抜ける髪の本数には個人差があるため、「1日あたり〇本」と断言するのは困難です。
初期脱毛の場合は平均すると1日あたり200本から300本程度の抜け毛が見られるようですが、多い方の場合は500本の抜け毛が見られる例もあります。抜け毛の量が1日あたり50本から100本に減ってきたら、初期脱毛が終わるタイミングを迎えていると考えてよいでしょう。
AGA治療中で2回目の初期脱毛はある?
AGA治療中に2回目の初期脱毛(二次脱毛)を経験される方もいます。2回目の初期脱毛は、AGAの治療を始めてからおよそ6~10ヶ月で起こることが多くなっています。アンケート調査によると、AGA治療を始めた方のおよそ2割強が、2回目の初期脱毛を経験しているそうです。
AGAの初期脱毛について不安な方はベアAGAクリニックへご相談ください
AGAの治療を開始した場合、初期脱毛のため一時的に抜け毛が増えることもあります。初期脱毛はAGAの治療薬が効力を発揮している証拠でもあり、それほど心配する必要はありません。2回目の初期脱毛が起こることもありますが、髪の毛がさらに強くなる前兆だと考えて問題ありません。
それでもあまりにも多くの抜け毛が見られると、心配になる方もいらっしゃるでしょう。そのような方は、ベアAGAクリニックまでご相談ください。ベアAGAクリニックでは個室での応対が基本なので、男性だけでなく女性も安心して髪の毛や頭皮に関するお悩みをご相談いただけます。まずは無料カウンセリングまでお気軽にお問い合わせください。AGAが手遅れな状態になる前に早期での治療をおすすめします。
執筆者:清水崇裕(ベアAGAクリニック院長、医師、医学博士)
薄毛治療実績1万人以上。薄毛治療以外の医学知識も豊富で、安全に配慮した治療を心がけています。美肌、シミ、シワ等も含めトータルなエイジングケアをサポート致します。最近髪が細くなってきた、頭頂部が気になる、髪が⽔に濡れてボリュームが減るのが恐い、など薄⽑に対するどんなお悩みでもお気軽にご相談ください。患者様の期待に応え、当院で治療を受けてよかったと⾔っていただけるようなクリニックを⽬指して参ります。
資格:医師・医学博士・放射線科専⾨医・⽇本医師会認定産業医・⽇本抗加齢医学会会員・⽇本医学放射線学会会員
薄毛にお悩みの方は必ずお力になります。ベアAGAクリニックにご相談ください。
ベアAGAクリニック院長 清水崇裕
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