抜け毛が気になる女性の中には、子宮筋腫が原因ではないかと不安に思う方もいらっしゃるでしょう。
子宮筋腫は若い女性から閉経後の方にまで多くみられる婦人科系の疾患です。
特に不調もなく検診で偶然にみつかることもあれば、生理痛や月経過多など訴えて医療機関で検査をした結果発見される場合もあります。
本記事では子宮筋腫と抜け毛の関係や対策時の注意点について解説します。
子宮筋腫以外の抜け毛の原因や改善策も紹介するため参考にしてください。
※本記事は日本皮膚科学会ガイドライン「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017 年版」を参考に作成しています。
目次
子宮筋腫とはどんな病気?症状や治療法を解説
子宮筋腫と抜け毛の関係について解説する前に、そもそも子宮筋腫がどのような病気なのか知っておきましょう。
子宮筋腫は30歳以上の女性の20~30%に見られる良性腫瘍です。腫瘍と聞いた場合にガンを連想される方もいますが、子宮筋腫は悪性腫瘍とは異なり「腫れ物」の一種のため過度に不安になる必要はありません。
参照元:子宮筋腫とは
子宮筋腫は若い方から閉経後の女性にまで幅広い年齢層に見られますが、閉経を迎えると症状が改善に向かうことも特徴の1つです。
卵巣嚢腫も女性に多く見られる疾患の1つですが、発生する箇所や症状が子宮筋腫とは異なります。症状や治療方法については専門医へご相談ください。
子宮筋腫の症状
子宮筋腫の主な症状は月経過多(生理にともなう出血の量が増えること)と月経痛です。また、月経時の出血量が増えると貧血を引き起こすリスクも増加します。
筋腫が発生した場所により腰痛や便秘、頻尿などの不調を引き起こすほか、不妊症の原因にもなることもあるため注意が必要です。
一般的に子宮の内側にできた筋腫は小さくても症状の程度が重いのに対し、子宮の外側に出来た場合は筋腫が大きくても無症状もしくは症状が軽い傾向にあります。症状や治療方法については専門医へご相談ください。
子宮筋腫の診断方法
子宮筋腫の診断は主に婦人科での診察と超音波(エコー)検査の2つの方法で行われます。子宮筋腫の発症が疑われる場合には、はじめに医師による問診が行われ必要と判断されれば内診(膣からの触診)を実施します。
医療機器を使った方法では経腟超音波検査の実施が一般的です。筋腫が子宮の内側にできて症状も重い場合には子宮内部に内視鏡を入れて確認します。
また、筋腫が大きい場合や悪性腫瘍が疑われる場合や手術を検討する場合などには、MRI(磁気共鳴画像診断)検査を行うこともあります。
子宮筋腫の治療方法
筋腫が小さく無症状の場合には治療を受ける必要はありませんが、大きさや症状により薬物療法や手術療法が行われます。
子宮筋腫を根本から治せる医薬品はないため、まずは治療薬により筋腫を小さくしたり、出血や痛みなどの症状を軽減する方法が検討されます。
子宮筋腫は女性ホルモンの分泌により大きくなるため、薬物により人為的に閉経状態を作り出す(偽閉経療法)ことが一般的です。
しかし、薬物療法を長期にわたり続けた場合に、骨密度を低下させる恐れがあるため原則的に保険診療は6ヶ月までしか認められていません。
参照元:子宮筋腫に対する薬物療法の特徴
筋腫の大きさや症状により手術療法が検討されることもあります。将来の妊娠を希望する場合には筋腫のみを除去し、希望しない場合には子宮全体を摘出します。症状や治療方法については専門医へご相談ください。
子宮筋腫と抜け毛に直接的な関係はある?
子宮筋腫と抜け毛に直接的な関係はありません。しかし、以下の2つの理由で抜け毛リスクを増加させる可能性があります。
- 月経過多にともなう貧血
- 子宮筋腫の症状によるストレス
子宮筋腫の代表的な症状が月経過多であるため、出血量が多いと貧血を引き起こす可能性があります。また、子宮筋腫にともなう痛みなどの症状はストレスを蓄積させる要因の1つです。
貧血もストレスも頭皮へと送られる血液の量を減らすため、結果的に抜け毛リスクを増加させる可能性があります。
子宮筋腫にともなう抜け毛がひどい方に多い原因
子宮筋腫と抜け毛との間には直接的な関係はありませんが、3つの原因で抜け毛リスクを増加させる可能性があります。
- 女性ホルモンバランスの乱れ
- 貧血
- ストレス
子宮筋腫にともなう抜け毛がひどい方に多い3つの原因について解説します。
女性ホルモンバランスの乱れ
子宮筋腫の発症にともない抜け毛リスクを増加させる原因の1つが女性ホルモンバランスの乱れです。女性ホルモンの一種であるエストロゲンとプロゲステロンには次のはたらきがあります。
- エストロゲン…髪の毛のハリやコシを生み出す
- プロゲステロン…髪の毛の成長期を維持する
子宮筋腫は女性ホルモンの分泌に依存して増大するため、女性ホルモンの分泌量を減少させる効果を見込める偽閉経療法が選択されます。
また、髪の毛の成長にはエストロゲンとプロゲステロンの分泌が欠かせないため、偽閉経療法にともなう女性ホルモンの分泌低下は結果的に抜け毛リスクを増加させます。
関連記事:女性ホルモンと髪の毛の関係性を紹介|女性ホルモンを増やすことで毛髪量が回復するか解説
貧血
貧血も子宮筋腫の発症にともない抜け毛リスクを増加させる原因の1つです。子宮筋腫を発症した場合に見られる症状の1つが月経過多ですが、出血量が多いと貧血を引き起こします。
貧血を引き起こした場合は頭皮へ送られる血液量が減少するため、髪の毛の成長を妨げる可能性があります。月経期間中に血の塊が見られる方や一般的な生理用ナプキンでは一時間ももたない場合、月経過多の疑いもあるため注意が必要です。
関連記事:貧血と抜け毛の関係性について紹介|原因と脱毛の改善のための対策方法を紹介
ストレス
子宮筋腫の発症にともない抜け毛リスクを増加させる原因の1つがストレスです。ストレス状態が継続した場合は自律神経のうち交感神経が優位に傾きます。
交感神経が優位に傾くと、血管が収縮して血液循環を阻害するため、結果的に髪の毛の成長に必要な栄養素が不足し抜け毛リスクを増加させます。
子宮筋腫の症状にともないストレスが蓄積している場合は早めに専門家へ相談することがおすすめです。
子宮筋腫の症状以外に考えられる抜け毛の原因
一口に抜け毛と言っても原因はさまざまです。子宮筋腫の症状以外に考えられる主な抜け毛の原因は以下の通りです。
- FAGA(女性型脱毛症)
- びまん性脱毛症
- 壮年性脱毛症
- 牽引性脱毛症
- 生活習慣の乱れ
子宮筋腫の症状以外に考えられる主な抜け毛の原因について解説します。
FAGA(女性型脱毛症)
FAGA(女性型脱毛症)は英語の「Female Androgenetic Alopecia」の略で、直訳すると「女性に見られる男性ホルモン由来の脱毛症」です。
女性の体内でもわずかながら男性ホルモンが分泌されており、女性ホルモンの分泌量が減少すると相対的に男性ホルモンが増加します。
男性ホルモンの一種であるテストステロンが活性の高いジヒドロテストステロン(DHT)へと変化した場合に、抜け毛リスクを増加させることがわかっています。
偽閉経療法にともなう女性ホルモンの分泌量減少が抜け毛リスクを増加させることもそのためです。しかし、女性の抜け毛はホルモンだけで説明できないケースも多いため、近年では世界的にFPHL(Female Pattern Hair Loss)と呼ばれはじめています。
参照元:男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン2017年版
関連記事:女性の薄毛(FPHL、FAGA)はなぜ起こる? 問題点・原因・特徴・効果的治療法を解説
びまん性脱毛症
びまん性脱毛症も子宮筋腫以外に考えられる抜け毛の原因の1つです。びまん性脱毛症は女性に特徴的な薄毛で、髪の毛全体のボリュームが減少し地肌が透けて見える傾向にあります。男性のように局所が禿げ上がることは多くありません。
びまん性脱毛症の原因はホルモンバランスの変化やストレス、過度のダイエットによる栄養不足や誤ったヘアケア、パーマやヘアカラーによる頭皮へのダメージなどさまざまです。
壮年性脱毛症
子宮筋腫以外に考えられる抜け毛の原因の1つが壮年性脱毛症です。壮年性脱毛症は男性に多く見られる薄毛の一種ですが女性でも発症する可能性があります。女性の壮年性脱毛症はルードウィッグ分類により以下のように進行するとされます。
グレード1 | 分け目部分の薄毛が目立ちはじめる |
グレード2 | 髪全体のボリュームが減少して地肌が透けはじめる |
グレード3 | つむじまわりの薄毛が進行し地肌が明確に見えはじめる |
女性の壮年性脱毛症はホルモンバランスの変化やストレス、乱れた生活習慣や遺伝的な要因により発症リスクが増加するでしょう。
牽引性脱毛症
牽引性脱毛症も子宮筋腫以外に考えられる抜け毛の原因の1つです。牽引性脱毛症は女性に多い薄毛の一種で、ポニーテールなどの髪型を好む方やいつも同じ場所で髪の毛を分ける方に多く見られます。
髪型による牽引力で頭皮の血行不良が起こると、髪の毛の成長が妨げられ抜け毛リスクを増加させます。エクステも牽引性脱毛症の発症リスクを増加させるため注意が必要です。
生活習慣の乱れ
生活習慣の乱れも子宮筋腫以外に考えられる抜け毛の原因の1つです。例えば睡眠不足の状態が続くと睡眠中の成長ホルモンの分泌量が減少し、細胞分裂が不活発となるため髪の毛の成長を妨げます。
また、過度なダイエットにともない栄養不足状態に陥ると髪の毛の成長に必要な栄養素が不足して抜け毛リスクが増加します。
関連記事:【女性に聞く】薄毛が改善した食べ物7選|髪の毛を増やすためには何を食べるべき?
子宮筋腫にともなう抜け毛が気になるときの改善策
子宮筋腫にともなう抜け毛が気になるときには、以下の改善策を試すことがおすすめです。
- AGA治療専門のクリニックへ相談する
- 貧血などの改善が見込める栄養を摂れる食事をする
- 軽い運動でストレス発散と血行促進を目指す
- 自分に合った十分な睡眠時間を確保する
- 頭皮の負担にならないような髪型・ヘアアレンジをする
子宮筋腫にともなう抜け毛が気になるときの改善策について解説します。
AGA治療専門のクリニックへ相談する
子宮筋腫にともなう抜け毛が気になるときには、まず子宮筋腫の治療を行いましょう。それでも治らない場合は、AGA治療専門のクリニックへ相談してみるのがおすすめです。
女性の薄毛は単一の原因ではなくさまざまな要因が複雑に絡み合って発症するケースが一般的です。子宮筋腫が抜け毛の直接的な原因ではなく、FAGAの発症による可能性もあります。
AGA治療専門のクリニックでは抜け毛や薄毛治療に特化した医師による診察を受けられるため、抜け毛の原因を突き止め改善へと導くことが期待できます。
貧血などの改善が見込める栄養を摂れる食事をする
子宮筋腫にともなう抜け毛が気になるときには、貧血などの症状改善が期待できる栄養素を積極的に摂取しましょう。貧血や血行不良の改善が見込める栄養素および食品は以下の通りです。
栄養素 | はたらき | 多く含む食品 |
鉄分 | 全身に酸素を運ぶ赤血球の材料になる | レバー・赤身の肉類や魚類・アサリなど |
ビタミンC | 血行を促進する | 柑橘類・アセロラ・赤ピーマン・黄ピーマン・キウイフルーツなど |
ビタミンE | ホルモンバランスを正常に保つ | ナッツ類・ウナギ・カボチャ・モロヘイヤ・大豆・胚芽油など |
クエン酸 | 血液の酸化を抑制し流れをスムーズに保つ | レモン・梅干し・お酢など |
EPA(エイコサペンタ塩酸) | 血栓を予防し血流をスムーズにする | イワシ・サバ・ブリ・ホンマグロ・マダイなど |
アルギン酸 | 一酸化窒素の産生を活発にし血流を促進する | コンブ・ワカメ・ヒジキ・モズクなど |
軽い運動でストレス発散と血行促進を目指す
軽い運動でストレス発散と血行促進を目指すことも子宮筋腫にともなう抜け毛が気になる方におすすめです。近所を散歩したりストレッチをするなど血行を促進すると髪の毛の成長に必要な栄養素が頭皮へと送り届きやすくなります。
また、適度な運動でストレスを発散することにより自律神経のバランスを整えて全身の血液循環を促進する結果につながります。
自分に合った十分な睡眠時間を確保する
子宮筋腫にともなう抜け毛が気になるときには自分に合った十分な睡眠時間の確保が重要です。成人女性の場合は一般的に6時間~7時間の睡眠をとることが目安とされています。
最適な睡眠時間は専門家の間でも意見が分かれますが、朝スッキリと目覚め日中に眠気が起こらない場合は自分に合った睡眠時間が確保できているといえます。
頭皮の負担にならないような髪型・ヘアアレンジをする
子宮筋腫にともなう抜け毛が気になるときには頭皮の負担にならないような髪型やヘアアレンジもポイントです。
ポニーテールや編み込み、お団子など頭皮に負担がかかる髪型を避けいつも同じ場所で髪の毛を分けないよう工夫しましょう。
ヘアアイロンやカールアイロン、エクステも頭皮へ負担を掛けるため利用する頻度を減らすことも必要です。
子宮筋腫の治療に支障が出る抜け毛対策はしないように注意
子宮筋腫の治療中は治療に支障が出る抜け毛対策は行わないよう注意しましょう。
例えば子宮筋腫にともない月経過多が見られる際に激しい運動を行うと貧血を起こすリスクが増加します。
また、自分の判断で抜け毛治療の薬を購入しかかりつけ医に相談せずに服用することもNGです。
医薬品には飲み合わせのリスクもあるため、医師に相談してから服用しましょう。
子宮筋腫にともなう抜け毛でお困りの方はベアAGAクリニックへご相談ください
子宮筋腫にともなう抜け毛でお困りの方は、まず子宮筋腫の専門医に相談しましょう。そのうえで、抜け毛が収まらないようであれば、ベアAGAクリニックへご相談ください。
女性の抜け毛の原因はさまざまで、子宮筋腫だけが薄毛のリスクを高めるわけではありません。FAGAを発症して抜け毛が起きている可能性もあります。
ベアAGAクリニックでは5万件以上の豊富な治療実績を持つ院長が直接診察を行ない、一人ひとりの薄毛の原因や症状に応じたオーダーメイド治療を提案します。
カウンセリングは無料で受けられるため、子宮筋腫にともなう抜け毛が増えてきた方はお気軽にお問い合わせください。