ミノキシジルは男性だけでなく女性の薄毛にも効果が期待でき、多くのAGAクリニックで処方されています。ミノキシジルでのAGA治療を始めた方の中には、初期脱毛により抜け毛の量が増える方もいます。その現象がミノキシジルによる初期脱毛です。
ミノキシジルによる初期脱毛は、基本的に一時的な副作用のためそれほど心配する必要はありません。ミノキシジルによる初期脱毛の期間やメカニズム、および抜け毛が長く続く場合の対処法について詳しく解説します。
目次
ミノキシジルの作用・効果
ミノキシジルの作用および効果としては、次の2点が挙げられています。
- 発毛の促進・ヘアサイクルの改善
- 短くて細い毛を成長期の髪の毛が押し出す
ミノキシジルによって発毛が促進されることは、国内の臨床試験でも明らかになっています。それぞれについて詳しく見ていきましょう。
参考:ミノキシジルが効かない人の原因や対処法を解説
発毛の促進・ヘアサイクルの改善
ミノキシジルには、発毛の促進およびヘアサイクルの改善効果が期待されています。日本皮膚科学会が策定する薄毛の診療ガイドラインにも、その効果が試験の結果とともに記載されています。
・国内でおこなわれた男性300名を対象とした24週間の試験の結果
国内ではミノキシジル外用薬が認可されており、薬局やドラッグストアなどでは1%〜5%のミノキシジル外用薬が、一般用医薬品として販売されています。
AGAクリニックでは、5%以上のミノキシジル外用薬や、ミノキシジル内服薬が処方されることもあります。ミノキシジル外用薬を利用した試験の結果は以下の通りです。
1%のミノキシジル外用薬を利用した群 | 非軟毛数が平均で21.2本増加 |
5%のミノキシジル外用薬を利用した群 | 非軟毛数が平均で26.4本増加 |
(※数字は1平方センチメートルあたりの、ベースラインからの非軟毛数の増加を示しています。非軟毛の増加は発毛効果と同義です)
・国内でおこなわれた女性280名を対象とした24週間の試験の結果
国内では原則として、1%のミノキシジル外用薬のみが女性に認められています。1平方センチメートルあたりの、ベースラインからの非軟毛数の増加について、プラセボと比較した場合、次のような試験の結果が出ています。
プラセボの群 | 非軟毛数が平均で2.03本増加 |
1%のミノキシジル外用薬を利用した群 | 非軟毛数が平均で8.15本増加 |
このように、男性だけでなく女性においても、ミノキシジルによる発毛の効果が証明されています。
参照元:男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン2017年版
短くて細い毛を成長期の髪の毛が押し出す
ミノキシジルによってヘアサイクルの乱れが改善される過程で、短くて細い毛を成長期の髪の毛が押し出すことで初期脱毛が発症します。ヘアサイクルは髪の毛が生えてから抜けるまでの周期のことです。
男性の場合は2〜5年、女性の場合はおよそ3〜6年周期で髪の毛が生え変わるのが一般的です。 ヘアサイクルが既に休止期に入っていた髪の毛が多い人は、他のミノキシジル服用患者と比べて早く初期脱毛の症状が現れます。個人差はありますが、初期脱毛は平均1〜3ヶ月で落ち着きます。初期脱毛は決してAGAの急激な進行ではないためご注意ください。
ミノキシジルの初期脱毛の目安の期間はいつからいつまで?
初期脱毛が起こる目安の期間は、人によって個人差があります。一般的にはミノキシジルを利用し始めてからおよそ2週間から1ヶ月で初期脱毛が起こり、その後1〜2ヶ月程度、初期脱毛が続くと考えられています。
初期脱毛が起こる時期に個人差があるのは、人によってヘアサイクルが違うためです。ヘアサイクルの休止期にミノキシジルを利用し始めた場合、ヘアサイクルの正常化にともなって、初期脱毛を起こす可能性が高くなります。
例外としてミノキシジルで初期脱毛が起こらない場合もある
ミノキシジルを利用した方の中には、初期脱毛が起こらない場合もあります。初期脱毛は、ある意味では発毛の効果の裏返しですが、発毛が起こるための必須の条件ではありません。
また、ミノキシジルによる初期脱毛は、薬の効き目と相関があるわけでもありません。 そのため、ミノキシジルによる初期脱毛が起こらない場合でも、AGA治療としての効果がないと心配する必要はありません。とくにAGAの初期の方や比較的若い方の場合、ミノキシジルによる初期脱毛が起こらない可能性も考えられます。
初期脱毛以外のミノキシジルの副作用
ミノキシジルには、初期脱毛以外にも、次のような副作用の可能性があります。
- 動悸・息切れ・不整脈
- 肝機能障害
- 手足や顔のむくみ
- 多毛症
- 皮膚炎
それぞれについて解説します。
動悸・息切れ・不整脈
ミノキシジルの副作用の1つが、動悸や息切れ、不整脈などの循環器系の障害です。ミノキシジルには動脈を収縮させ、細動脈を弛緩させる作用がありますが、人によっては冠動脈まで弛緩する場合があります。 冠動脈が弛緩すると心臓へ送られる血液の量が減少し、酸欠状態を招きかねません。
結果として肺にも負担がかかり、動悸や息切れ、不整脈を引き起こしやすくなります。ただし、動悸・息切れ・不整脈などは主にミノキシジル内服薬の副作用であり、ミノキシジル外用薬にはそこまでのリスクがありません。
肝機能障害
ミノキシジル内服薬を服用した場合の副作用の1つが肝機能障害です。肝臓には医薬品の有効成分を代謝する働きがあるため、ミノキシジル内服薬に限らず、医薬品を服用した場合は多かれ少なかれ肝臓への負担が増します。
そのため、AGAクリニックでは定期的に血液検査をおこない、副作用のリスクを慎重に見極めながらミノキシジル内服薬を処方しています。ミノキシジル外用薬の場合、肝機能障害のリスクはそこまで高くありません。
手足や顔のむくみ
ミノキシジルの副作用としては、手足や顔のむくみも挙げられています。ミノキシジルの血管拡張作用は動脈にのみ働き、静脈には及びません。そのため、手足など末端部の血行が悪くなり、むくみやすくなります。
ほとんどの場合は一過性で終わりますが、まれに心機能の低下によってむくみを引き起こすこともあります。そのため、心臓に不安がある方は必ず事前に医師に相談しましょう。
多毛症
多毛症もミノキシジルの副作用として知られています。とくにミノキシジル内服薬を服用した場合、多毛症の発症リスクが高くなると考えられます。ミノキシジルの効果は、頭皮にだけ限定的にあらわれるわけではありません。全身の産毛を成長させるため、すねや腕の体毛が濃くなる可能性もあります。
皮膚炎
ミノキシジル内服薬に比べると、ミノキシジル外用薬にはそれほど重篤な副作用のリスクはありません。ただ、肌質や体質によっては、頭皮のかゆみや赤みを引き起こしたり、アレルギー反応が出たりするケースもあります。ミノキシジル外用薬が肌に合わないと感じるようであれば、担当の医師に相談しましょう。
ミノキシジルによる初期脱毛期間が長い場合の対処法
ミノキシジルによる初期脱毛の期間が長い場合、担当の医師やベアAGAクリニックまでご相談頂くことをおすすめします。自分の判断で治療薬の使用を中断した場合、再び薄毛の進行が始まる可能性もあります。ミノキシジルによる初期脱毛は発毛の効果の裏返しでもあるので、AGAを自力で治そう・対処しようとせずに1人で不安を抱えずに専門医まで相談するよう心がけましょう。
ミノキシジルの初期脱毛に関するよくある質問
ミノキシジルによる初期脱毛について、よく寄せられる質問をご紹介します。ミノキシジルによる初期脱毛が心配な方や、抜け毛量の増加に不安をお持ちの方はぜひ参考にしてみてください。
ミノキシジルの初期脱毛ではどのくらいの本数の髪の毛が抜ける?
ミノキシジルによる初期脱毛で、どれくらいの本数の髪の毛が抜けるのかには個人差があり、一概に「〇本です」と断言することはできません。ただ、平均するとおよそ1日に200~300本の抜け毛が見られるようです。
人によっては500本ほど抜ける期間もあります。 脱毛症を発症していない場合でも、ヘアサイクルの休止期を迎えた髪の毛が毎日50~100本は抜けるとされます。毎日の抜け毛の量が50~100本に落ち着いてきたら、ミノキシジルによる初期脱毛が終わりを迎えたと言えるでしょう。
初期脱毛がなかった場合はミノキシジルも効果を発揮しない?
ミノキシジルによる初期脱毛が起こらない方もいます。ミノキシジルによる初期脱毛は発毛効果の裏返しですが、発毛が起こるための絶対的な条件ではありません。また、ミノキシジルの薬効と初期脱毛の間には相関性はないです。
そのため、ミノキシジルによる初期脱毛が起こらなかったとしても、ミノキシジルが作用していないと考える必要はありません。初期脱毛が起こらなくても、半年ほどミノキシジルを使用し続けていれば、何らかの変化があらわれてくるでしょう。
初期脱毛には2回目もある?
初期脱毛が2回起こる可能性はあります。ミノキシジルを使用するとヘアサイクルの乱れが改善され、その結果として初期脱毛を起こす可能性が高くなります。ミノキシジルによる初期脱毛が2回起こった方は全体のおよそ4分の1というアンケート結果もあります。
参照元:PRTIMES
ヘアサイクルの周期は髪の毛1本1本について異なるため、1回目の初期脱毛で強く生まれ変わらなかった髪の毛は、2回目の初期脱毛で強く生まれ変わると考えられます。
2回目の初期脱毛がショックで治療薬の使用をやめてしまうと、髪の毛が少ない状態で治療をやめる結果となります。2回目の初期脱毛が起こった場合、心配なら必ず担当医に相談するよう心がけましょう。
ミノキシジルの使用で女性も初期脱毛は発症する?
厚生労働省によって発毛効果が認められている有効成分は、現在のところフィナステリドとデュタステリド、そしてミノキシジルの3つだけです。フィナステリドとデュタステリドに関しては男性しか利用できませんが、ミノキシジルは女性の薄毛治療にも用いられています。
女性の場合であっても、ミノキシジルの使用によって初期脱毛を起こす可能性はあります。ミノキシジルによる初期脱毛は、発毛の効果の裏返しですが、心配な方は担当の医師まで相談しましょう。
ミノキシジルの初期脱毛についてのご相談はベアAGAクリニックへ
ミノキシジルには発毛を促進し、ヘアサイクルの乱れを改善する効果が期待されています。脱毛症を発症した場合、髪の毛が徐々に細く弱々しくなりますが、ミノキシジルの使用によって太くて強い髪の毛が生えてきた場合、脱毛症によって弱々しく細くなった髪の毛が押し出されるようにして抜け落ちます。
これがミノキシジルによる初期脱毛のメカニズムであり、発毛の効果が出ている裏返しです。もしミノキシジルによる初期脱毛について不安がある方や、脱毛の期間が長い方は、ベアAGAクリニックまでご相談ください。 ベアAGAクリニックでは、無料カウンセリングで抜け毛や薄毛に関するお悩みをなんでも承っております。まずはカウンセラーまでお話をお聞かせください。AGAが手遅れな状態になる前に早期での治療をおすすめします。
執筆者:清水崇裕(ベアAGAクリニック院長、医師、医学博士)
薄毛治療実績1万人以上。薄毛治療以外の医学知識も豊富で、安全に配慮した治療を心がけています。美肌、シミ、シワ等も含めトータルなエイジングケアをサポート致します。最近髪が細くなってきた、頭頂部が気になる、髪が⽔に濡れてボリュームが減るのが恐い、など薄⽑に対するどんなお悩みでもお気軽にご相談ください。患者様の期待に応え、当院で治療を受けてよかったと⾔っていただけるようなクリニックを⽬指して参ります。
資格:医師・医学博士・放射線科専⾨医・⽇本医師会認定産業医・⽇本抗加齢医学会会員・⽇本医学放射線学会会員
薄毛にお悩みの方は必ずお力になります。ベアAGAクリニックにご相談ください。
ベアAGAクリニック院長 清水崇裕
参考:AGA治療のデメリットについて解説
参考:フィナステリドの服用をやめたらどうなるのか解説
参考:フィンペシアによる副作用について解説