AGAは男性に見られる薄毛の代表例であり、進行型の脱毛症です。AGAは、治療をせずに放置した場合、急激には進行しないものの徐々に確実に進行します。AGAの発症が疑われる場合、なるべく早めに治療を始めることが重要です。
AGAの治療を始めた場合、一生続けなければならないのでしょうか。また、自分の判断でAGAの治療を中断した場合、どのようなデメリットがあるか、AGA治療を続けるうえで心がけておくべきポイントを紹介します。
目次
AGA治療は一生続けるべきか
AGAは進行型の脱毛症であり、一生つつけていく必要があるといわれています。治療薬を飲み続けることに不安がある場合、どのように対処すればよいのでしょうか。
- AGA治療の中断はおすすめしない
- 治療の中断により薄毛の原因となるDHT(ジヒドロテストステロン)の濃度が増す
- 一定の発毛効果を得たら減薬を検討
AGA治療の中断はおすすめしない
AGA治療を中断することはおすすめできません。治療を中断すると、再び薄毛になる可能性が高いからです。AGAは進行型の脱毛症のため、発症した場合は完治することがありません。
AGAの治療には、抜け毛を抑止し、発毛を促進するための治療薬が用いられます。ただし、治療薬のはたらきはあくまでもAGAの進行を遅らせ、現状よりも髪の毛の量を増やすことにあります。
仮にAGA治療を始めて髪の毛が生えてきたとしても、抜け毛を引き起こす遺伝的な体質が変わったわけではありません。AGA治療を中止した場合、再び薄毛になる確率が高くなります。AGA治療の中断をおすすめしないのはそのためです。
治療の中断により薄毛の原因となるDHT(ジヒドロテストステロン)の濃度が増す
AGA治療を中断した場合、薄毛の原因となるDHT(ジヒドロテストステロン)の濃度が増します。ジヒドロテストステロンは、テストステロンがより強力化した男性ホルモンの1つです。
ジヒドロテストステロンは胎児期の生殖器の成長や、思春期の男性らしい身体づくりに欠かせないホルモンです。ただ、思春期をすぎてもジヒドロテストステロンが多量に分泌されると、抜け毛のリスクが高まります。
ジヒドロテストステロンがアンドロゲンレセプターと呼ばれる男性ホルモン受容器に結合すると、TGF-βと呼ばれる有害なサイトカインを産生します。TGF-βにはヘアサイクルを乱し、髪の毛の成長を妨げるはたらきがあります。その結果、AGAの進行が助長されます。
AGAの治療薬には、ジヒドロテストステロンのはたらきを阻害し、抜け毛を予防するはたらきがあります。AGA治療を中断した場合、再びジヒドロテストステロンの濃度が増し、AGAの進行が再開するのです。
一定の発毛効果を得たら減薬を検討
AGA治療を始めて一定の発毛が見られた場合、減薬を検討する方法もあります。AGA治療薬には、抜け毛の予防を目的とした薬や、積極的に発毛を促す薬があり、症状の程度や目的に応じて使い分けられています。
積極的に発毛を促す治療薬によってある程度の発毛が見られたら、抜け毛の予防を目的とする治療薬に切り替えるのも1つの手です。医師と相談の上で適切な減薬をおこなえば、増えた髪の毛の量を維持できるだけでなく、治療費や通院回数を減らすことにもつながります。
ただし、自分の判断で薬の量を減らしたり、服用する回数を少なくしたりすることは避けましょう。せっかく増えた髪の毛が抜けたり、治療を始める前よりも悪化したりする可能性があります。
AGA治療で効果が期待できるまでに必要な目安の期間
AGA治療で効果が期待できるまで、目安となる期間はおよそ6ヶ月から1年とされています。治療を始めて1ヶ月で発毛の効果が感じられることはほぼありません。
まず、治療を始めて1~3ヶ月の間に、弱々しくて細い髪の毛が抜け落ち、一時的にAGAが悪化したように感じることがあります。この現象は初期脱毛と呼ばれており、症状が緩和される兆候です。
治療を始めて4~6ヶ月経つと、髪の毛が太くなったり、髪の毛のコシが出てきたりします。その後、半年から1年の間に発毛の効果を実感するケースが多いです。ただし、AGA治療の効果には個人差があるため、効果が実感できない場合は、担当の医師と相談しましょう。
AGA治療を続けるうえで心がけておくこと
AGAは進行型の脱毛症であり、いったん発症したら完治することがありません。そのため、AGA治療は根気強く続けていく必要があります。その際に心がけておくべきポイントを紹介します。
- ゴールを決めて長期的な治療を続ける
- 服薬の中断を自分で勝手に判断しない
ゴールを決めて長期的な治療を続ける
ゴールを決めて長期的な治療を続けることも、AGA治療を続けるうえで心がけておくポイントの1つです。
- 子どもが中学校を卒業するまで
- 年齢的に薄毛が気にならなくなるまで
- 全体的に髪の毛のボリュームがアップするまで
AGAは原則として完治しません。AGA治療をいつまで続けるのかは、その人のライフスタイルや考え方によって左右されます。ゴールを決めることで、長期的な治療を続けやすくなるだけでなく、AGA治療をやめるタイミングも決めやすくなります。
参考:AGA治療で血液検査を行う理由と検査でわかることを解説
服薬の中断を自分で勝手に判断しない
AGA治療を続けるうえで心がけておくポイントとして、自分の判断で服薬を中断しないことも挙げられます。AGA治療で一定の発毛が見られた場合、治療薬を減らすケースがあります。
しかし、担当の医師ではなく自分で勝手に判断して服薬を中断した場合、抜け毛のリスクが高くなります。また治療前の状態より薄毛が悪化する可能性もあります。
薄毛になってから治療を再開すると、また効果が現れるまで半年から1年程度治療を継続しなければなりません。減薬したい場合は必ず医師に相談することが重要です。
クリニックで処方されるAGAの治療薬3選
AGA治療専門のクリニックでは、主に以下の3つの有効成分を配合した治療薬を用いて、薄毛の改善を図っています。
- フィナステリド
- デュタステリド
- ミノキシジル
フィナステリド
フィナステリドの主な効果と副作用は以下の通りです。
効果 | 副作用 |
Ⅱ型の5αリダクターゼのはたらきを阻害 | 男性機能の低下(リビドー減退など) |
フィナステリドはアメリカのメルク社が開発した医薬品です。もともとは男性の前立腺肥大を改善する目的で利用されていましたが、フィナステリドを服用した複数の方に発毛が見られたため、低用量のフィナステリド錠であるプロペシアが開発されました。
日本では2005年に販売が開始されており、現在でもAGAの代表的な治療薬として多くの治療院で利用されています。フィナステリドの効果は、Ⅱ型の5α-リダクターゼの働きを阻害することです。
Ⅱ型の5α-リダクターゼは頭頂部や前頭部に多く分布しており、抜け毛の原因となるジヒドロテストステロンを産生する際に大きな役割を果たします。フィナステリドによってⅡ型の5α-リダクターゼのはたらきを阻害することで、抜け毛を予防することが可能となります。
フィナステリドの主な副作用は男性機能の低下です。フィナステリドを使用した1~5%未満の方に、リビドー減退が、1%未満に射精障害や勃起機能不全といった副作用が見られるとされています。
デュタステリド
デュタステリドの主な効果と副作用は以下の通りです。
効果 | 副作用 |
Ⅰ型・Ⅱ型両方の5α-リダクターゼのはたらきを阻害 | 性機能の不全 |
デュタステリドの効果は、フィナステリドと同じく、5α-リダクターゼのはたらきを阻害することです。フィナステリドがⅡ型の5α-リダクターゼのはたらきを阻害するのに対し、デュタステリドには1型と2型、両方の5α-リダクターゼのはたらきを阻害する効果が期待されます。
フィナステリドでは十分に得られなかった増毛効果も期待されています。デュタステリドの主な副作用は性機能の不全です。デュタステリドを使用した1%以上の方に、リビドー減退や勃起機能不全、射精障害といった副作用も見られます。
ミノキシジル
ミノキシジルの主な効果と副作用は以下の通りです。
効果 | 副作用 |
血管を拡張・血行を促進・発毛シグナルの活性化 | 頭皮のかゆみや赤み・心臓への負担増 |
ミノキシジルの効果は血管を拡張し、血行を促進することです。また、発毛シグナルを活性化する効果も期待されます。ミノキシジルはもともと、アメリカで高血圧の治療に使われていました。のちの研究でミノキシジルが心臓への負かけると判明したため、現在では高血圧の治療薬に使われることはありません。
ミノキシジルはフィナステリド、デュタステリドと並び、推奨度A(行うよう強く勧める)に分類されています。 ミノキシジルには塗り薬と飲み薬があるのですが、塗り薬にはそれほど重篤な副作用がありません。人によって頭皮のかゆみや赤みが見られる程度です。ミノキシジルには心臓への負担を増す副作用があるため、事前に医師と相談することが重要です。
AGAの治療期間についてのご相談はベアAGAクリニックへ
AGAは思春期以降に見られる進行型の脱毛症です。発症が疑われる場合、なるべく早めに治療を始めることで、薄毛の進行を遅らせ、年相応の毛髪量に回復させることが期待できます。ただ、AGA治療をいつまで続ければよいのか分からないという方もいます。 AGAの進行スピードや、治療薬の効果の現れ方は、人によってさまざまです。ベアAGAクリニックでは、治療の経過を慎重に見極めながら、患者さんと相談して治療の方針を柔軟に見直すことができます。治療について少しでも気になることがあれば、遠慮なさらずに担当医までご相談ください。
執筆者:清水崇裕(ベアAGAクリニック院長、医師、医学博士)
薄毛治療実績1万人以上。薄毛治療以外の医学知識も豊富で、安全に配慮した治療を心がけています。美肌、シミ、シワ等も含めトータルなエイジングケアをサポート致します。最近髪が細くなってきた、頭頂部が気になる、髪が⽔に濡れてボリュームが減るのが恐い、など薄⽑に対するどんなお悩みでもお気軽にご相談ください。患者様の期待に応え、当院で治療を受けてよかったと⾔っていただけるようなクリニックを⽬指して参ります。
資格:医師・医学博士・放射線科専⾨医・⽇本医師会認定産業医・⽇本抗加齢医学会会員・⽇本医学放射線学会会員
薄毛にお悩みの方は必ずお力になります。ベアAGAクリニックにご相談ください。
ベアAGAクリニック院長 清水崇裕
参考:AGA治療のデメリットについて解説
参考:AGAの発症と生活習慣の関係について解説
参考:皮膚科とAGAクリニックで受けられるAGA治療法・費用面の違いについて解説