「最近抜け毛が多いため原因が貧血にあるのか知りたい」「貧血による抜け毛の対策方法を教えてほしい」
貧血は女性に多く見られる悩みの1つですが、男性も年齢を重ねたり、何らかの病気を発症することで貧血を引き起こす可能性があります。
貧血を起こすと主にめまいや立ちくらみなどの症状が見られますが、場合により抜け毛を引き起こす可能性もあるため注意が必要です。
本記事では貧血の原因や抜け毛を引き起こしやすい人の特徴、および改善方法について解説します。
貧血による抜け毛がどのくらいの期間で回復するか知りたい方も参考にしてみてください。
(※本記事は日本皮膚科学会ガイドライン「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017 年版」を参考に作成しています。)
目次
貧血中に起こる身体の変化
貧血中に起こる身体の変化(主な症状)は以下の通りです。
- めまいや立ちくらみ
- 動悸や息切れ
- 頭痛や胸痛
- 易疲労感(疲れやすい)や全身の倦怠感
- 肌荒れ
- イライラ
- 抜け毛や枝毛が増える
貧血は血液中の赤血球に含まれるヘモグロビン濃度が低下した状態です。ヘモグロビンには身体のすみずみに酸素と栄養を送り届けるはたらきがあるため、濃度が低下すると全身が酸欠状態に陥り上記の症状を引き起こしやすくなります。
WHOでは各年代ごとの貧血を次のように定義しています。
年齢 | ヘモグロビン値(g/dl) |
6ヶ月~6歳 | 11.0未満 |
6歳~14歳 | 12.0未満 |
成人男性 | 13.0未満 |
成人女性 | 12.0未満 |
妊婦 | 11.0未満 |
参照元:貧血の概念と考え方
ただし、ヘモグロビン値が基準値以下でも直ちに精密検査や治療が必要になる訳ではありません。貧血の多くは体内の鉄分不足により引き起こされる鉄欠乏性貧血ですが、潜在性鉄欠乏症の場合には貧血でなくても全身の倦怠感やパニック障害、うつ症状などを引き起こす可能性があります。
また、男性の場合は鉄欠乏性貧血ではなく、より重篤な病気を発症している可能性もあるため注意が必要です。
貧血が抜け毛を引き起こす原因
貧血が抜け毛を引き起こす主な原因は、髪の毛を成長させる栄養が不足することです。髪の毛は以下のメカニズムで成長します。
- 毛根にある毛母細胞へ毛細血管を通じて栄養や酸素が送られる
- 毛母細胞が髪の毛の成長因子を生成する
- 毛母細胞が分裂を繰り返すことで毛包内に髪の毛が作られる
- 毛包内の髪の毛が頭皮の外へと押し出されて成長する
貧血は頭皮へ酸素を送り届ける役割のヘモグロビンが減少した状態であるため、髪の毛の成長に必要な酸素と栄養が毛母細胞へ行き届かなくなります。
結果的に髪の毛の成長が滞り、抜け毛リスクが増大します。また、慢性的に鉄分が不足している場合では、貧血に先行してびまん性脱毛を引き起こす可能性もあるため注意が必要です。
貧血による抜け毛になりやすい人の特徴
貧血による抜け毛になりやすい人の特徴は以下の5つです。
- 女性・高齢者
- 日常的に過度なストレスを感じている
- 過度なダイエット・乱れた食生活で栄養不足に陥っている
- 日常的に多量のアルコールを摂取している
- 造血細胞自体の異常などの疾患を起こしている
5つの特徴について解説します。
女性・高齢者
貧血による抜け毛になりやすい人の特徴の1つが女性や高齢者です。女性に貧血が多い理由は鉄分不足に陥る機会や、鉄分需要量の増大に直面する機会が多いためです。
女性は閉経するまで月経により鉄分を奪われるだけでなく、妊娠中・授乳中には胎児や乳児を成長させるために鉄分需要量の増大が起こるため、貧血を引き起こしやすいと考えられています。
また、加齢や何らかの病気(甲状腺機能の低下や肝機能障害など)が原因で造血機能が低下することも、貧血による抜け毛につながります。
日常的に過度なストレスを感じている
日常的に過度なストレスを感じている人も、貧血による抜け毛を引き起こしやすいと考えられています。貧血の原因の1つが鉄分の吸収不良ですが、ストレスにより自律神経のバランスが乱れると消化器官の機能が低下するため、鉄分の吸収量が減り貧血を起こしやすくなります。
過度なストレスにより胃が痛くなるのも、自律神経のバランスが乱れて胃酸の分泌量が増大し、粘膜に炎症を起こすためです。ストレスによる睡眠の質の低下も、髪の毛の成長を妨げ抜け毛リスクを増大させます。
過度なダイエット・乱れた食生活で栄養不足に陥っている
過度なダイエット・乱れた食生活で栄養不足に陥っている人も、貧血による抜け毛を引き起こしやすくなります。若い女性に貧血が多く見られるのも、過度な食事制限で栄養不足に陥る場合が多いためです。
特に増血ビタミンと呼ばれるビタミンB6やB12、頭皮へと酸素を運ぶヘモグロビンの構成要素のタンパク質や鉄、タンパク質の生合成を促進する葉酸、食事で摂取した栄養の吸収をサポートするビタミンCなどが不足した場合に、貧血にともなう抜け毛を引き起こしやすくなります。
日常的に多量のアルコールを摂取している
日常的に多量のアルコールを摂取している人も、貧血による抜け毛を引き起こしやすくなると考えられます。
過度の飲酒を行うと、血液を作る成分であるビタミンB12や、髪の毛の元となるタンパク質を生合成する葉酸などの吸収を妨げられるためです。
長期間の飲酒は高血圧など生活習慣病のリスクも増大させるため注意が必要です。
出血を伴う疾患を起こしている
貧血による抜け毛が見られる場合には、出血を伴う疾患を起こしている可能性も疑われます。特に胃潰瘍や胃がん・大腸がんをはじめとする消化器系の疾患や、子宮筋腫・子宮内膜症などの婦人科の疾患により慢性的な出血を起こしていると、貧血による抜け毛を引き起こしやすくなると考えられます。
胃潰瘍や婦人科系の疾患は貧血以外に痛みをともなう傾向にあるため、初期の段階で見つかる場合も多いのですが、胃がんや大腸がんの場合は症状が進行してから発見される場合も多いため注意が必要です。
貧血による抜け毛を防ぐために1日に摂取すべき鉄分量
18歳以上の男女が1日に摂取すべき鉄分量の目安については以下の表を参考にしてください。
年齢 | 男性 | 女性(月経なし) | 女性(月経あり) |
18歳~29歳 | 7.5㎎ | 6.5㎎ | 10.5㎎ |
30歳~49歳 | 7.5㎎ | 6.5㎎ | 10.5㎎ |
50歳~64歳 | 7.5㎎ | 6.5㎎ | 11.0㎎ |
65歳~74歳 | 7.5㎎ | 6.0㎎ | – |
75歳以上 | 7.0㎎ | 6.0㎎ | – |
耐容上限量は18歳以上の男性の場合は1日50㎎、女性は40㎎です。通常の食事で鉄分を過剰に摂取する可能性は低いですが、サプリメントなどで摂りすぎると便秘や胃の不快感が見られる場合もあるため注意が必要です。
参照元:健康長寿ネット
貧血による抜け毛を改善する方法
貧血による抜け毛を改善する主な方法は次の3つです。
- 貧血対策になる栄養のある食事を心がける
- 軽い運動でストレス発散と血行促進を目指す
- 抜け毛が起こりはじめたらすぐにAGAクリニックへ相談する
3つの方法について解説します。
貧血対策になる栄養のある食事を心がける
貧血による抜け毛を改善するためには、貧血対策になる栄養のある食事を摂ることが重要です。ヘモグロビンを構成する鉄分やタンパク質の摂取はもちろん、鉄分の吸収を良くするビタミンCや造血に必要なビタミンB6・B12、タンパク質の生合成に欠かせない葉酸も日々の食事に取り入れましょう。
多くの食品に含まれる鉄分は、体内への吸収効率が良い「ヘム鉄」と吸収されにくい「非ヘム鉄」に分類されます。しかし、非ヘム鉄を多く含む食品にもタンパク質やビタミンなどが含まれているため、バランスよく摂取することが重要です。
ヘム鉄と非ヘム鉄を多く含む食品については、以下の表を参考にしてください。
ヘム鉄を多く含む食品 |
豚レバー |
鶏レバー |
しじみ |
牛もも肉(赤身) |
カツオ |
非ヘム鉄を多く含む食品 |
ひじき |
鶏卵(卵黄) |
油揚げ |
小松菜 |
ほうれん草 |
軽い運動でストレス発散と血行促進を目指す
貧血による抜け毛を改善する場合には、軽い運動でストレス発散と血行促進を目指すことも効果的です。ウォーキング程度の運動でも下半身の筋肉が刺激されるため、全身の血行が改善し頭皮まで栄養が行き届きやすくなります。
また、運動による適度な疲れとリラクゼーション効果により睡眠の質が向上すれば、睡眠中に髪の毛の成長を促す結果にもつながります。
抜け毛が起こりはじめたらすぐにAGAクリニックへ相談する
貧血による抜け毛を改善するためには、AGAクリニックの専門医に相談することが重要です。抜け毛の原因はさまざまのため、まずは専門医の診察や検査により、原因を突き止める必要があります。
貧血が原因ではなく、何らかの脱毛症により抜け毛を引き起こしている可能性もあります。特にAGA(男性型脱毛症)を発症している場合には速やかに対処しない限り、薄毛がゆっくりとですが確実に進行するため注意が必要です。
貧血が原因の抜け毛発症時にしてはいけない行動
貧血が原因で抜け毛が疑われる場合には、次の2つの行動を避けましょう。
- 生活習慣を変えずに抜け毛を放置する
- 自分で抜け毛治療薬を輸入・購入し勝手に治療を行う
2つの避けるべき行動について解説します。
生活習慣を変えずに抜け毛を放置する
貧血が原因で抜け毛が疑われる場合には、生活習慣を変えずに抜け毛を放置することはNGです。貧血による抜け毛リスクを増加させる生活習慣は、過度なダイエットにともなう栄養不足や日々のストレス、飲酒習慣などさまざまです。
思い当たる点がある場合には、まず生活習慣の改善からはじめましょう。放置すると抜け毛が増えたり、頭皮環境の悪化を招く恐れもあるため注意が必要です。セルフケアでは改善が見られない場合には、AGAクリニックの専門医に相談しましょう。
自分で抜け毛治療薬を輸入・購入し勝手に治療を行う
貧血が原因で抜け毛が疑われる場合に、自分で抜け毛治療薬を輸入・購入し勝手に治療を行うことは避けましょう。抜け毛の原因はさまざまのため、自分の判断で治療薬を購入しても、期待する効果が得られない可能性があります。
場合によっては肝機能障害など重篤な副作用を引き起こす可能性もあるため、自分の判断で海外製の治療薬を服用することは絶対に避けましょう。
貧血が原因の抜け毛に関するよくある質問
貧血が原因の抜け毛に関しては、以下の3つの質問が多く見られます。
- 貧血気味の場合にサプリで鉄分を補っても薄毛に効果ある?
- 貧血による抜け毛はどのくらいで回復する?
- 貧血になると抜け毛だけではなく白髪も増える?
3つの質問にお答えします。
貧血気味の場合にサプリで鉄分を補っても薄毛に効果はある?
食事だけでは十分に鉄分を摂取できない場合では、サプリで補給する方法もあります。サプリで鉄分を補う場合は、水や白湯で飲むことが基本です。お茶や紅茶などタンニンを含む飲料で摂取すると、鉄分の吸収が妨げられるため注意しましょう。
鉄分をサプリで摂取する場合には、ビタミンCやクエン酸を一緒に摂ると吸収効率が良くなりますが、鉄分をサプリメントから摂取する場合には、耐容上限量(成人男性50㎎・成人女性40㎎)を超えないよう気を付ける必要があります。何らかの薬を服用中の場合は主治医に相談しましょう。
貧血による抜け毛はどのくらいで回復する?
貧血による抜け毛が改善するまでには、およそ3ヶ月が必要だと覚えておきましょう。生活習慣の改善やサプリの服用、治療などに取り組むと貧血自体は2ヶ月程度で改善が期待できます。
しかし、抜け毛に関してはヘアサイクルの周期が正常化するまで改善が見られない可能性もあります。抜け毛が治まらず心配な場合には、自分の判断で諦めるのではなく、クリニックの専門医に相談しましょう。
参考:鉄と髪の毛|鳥取県医師会
参考:鉄欠乏性貧血の治療法|日本鉄バイオサイエンス学会
貧血による抜け毛に関するご相談はベアAGAクリニックへ
貧血による抜け毛にお悩みの方は、ベアAGAクリニックまでご相談ください。貧血の主な症状はめまいや立ちくらみ、動悸・息切れですが、場合により抜け毛リスクを増加させる可能性もあるため注意が必要です。
生活習慣の見直しやサプリの服用で貧血が改善しても、抜け毛が治まるまでには時間が掛かります。また、セルフケアで抜け毛が改善しない場合には、何らかの脱毛症を発症している可能性も疑われます。
中でも進行型の脱毛症のAGA(男性型脱毛症)を発症している場合では、生活習慣の見直しやサプリの服用だけでは抜け毛の改善が期待できません。
抜け毛は1つの原因ではなく、複数の原因が複雑に絡み合い発症する場合が多いため、まずは専門家の診察や検査を受け、自分の抜け毛がなぜ起こるのかを突き止めることが求められます。
ベアAGAクリニックではカウンセラーが専用カメラを用いて頭皮チェックを行い、治療内容や薬の種類、費用など一人ひとりに合ったプランを提案します。
カウンセリングは無料で受けることができるだけでなく、無理に治療を勧めることは一切ないため、安心してお問い合わせください。