AGAは男性に見られる脱毛症の一種で、若い男性でも発症の可能性があります。女性の場合はホルモンバランスの変化などが原因となり、FAGAと呼ばれる脱毛症を発症する可能性があります。
AGAは自力で治すことは可能なのでしょうか。AGAの発症が疑われる場合の治療法や、間違った自己流の改善法を紹介します。
目次
AGAを自力で治すことは難しい
AGA(男性型脱毛症)を自力で治すことは難しいです。日本皮膚科学会が策定する「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン」によると、AGAは思春期をすぎて発症する進行型の脱毛症と定義されています。
生活習慣などが原因となって抜け毛の量が増えている場合、自力での対処が可能な場合もあります。しかし、進行型のAGAの場合は、適切な治療を受けない限り、自力で治すのはほぼ不可能です。
自力で治そうとしている間にAGAはどんどん進行するだけでなく、掛けた手間と時間が無駄になる可能性もあります。急激に進行する脱毛症ではありませんが、AGAの発症が疑われる場合はなるべく早めに専門医に相談することが欠かせません。
AGAを引き起こす原因
AGAを引き起こす原因は、主に次のようなことが挙げられます。
- ヘアサイクルの「成長期」の期間が通常より短くなり髪が育ちにくくなる
- 脱毛因子を放出するジヒドロテストステロンが作られることで毛髪の成長期が短くなる
- 遺伝やストレスも発症の原因になり得る
ヘアサイクルの「成長期」の期間が通常より短くなり髪が育ちにくくなる
AGAを引き起こす原因としては、ヘアサイクルの「成長期」の期間が通常よりも短くなることが挙げられます。ヘアサイクルは髪の毛が生え替わる周期を意味しており、成長期→退行期→休止期→成長期を繰り返します。
成長期 | 髪の毛が伸び、毛球が成長する時期。ヘアサイクル全体のおよそ85%から90%(2~6年)を占める。 |
退行期 | 毛球の成長が停止し、徐々に退縮する時期。ヘアサイクル全体のおよそ1%(2週間)を占める。 |
休止期 | 毛球が完全に退化し、髪の毛が抜け落ちる時期。ヘアサイクル全体のおよそ10%から15%(2~4ヶ月)を占める。 |
健康な状態の髪の毛はおよそ2~6年かけて成長するのですが、AGAを発症すると成長期が短縮され、退行期が早く訪れます。その結果、髪の毛が十分に成長する前に抜け落ちます。
日本人の毛髪は平均すると10万本とされていますが、1本1本につきヘアサイクルが異なります。そのため、髪の毛が一斉に抜け落ちることはありませんが、AGAの進行にともない、徐々に薄毛の範囲が広がります。
脱毛因子を放出するジヒドロテストステロンが作られることで毛髪の成長期が短くなる
AGAの原因は、脱毛因子を放出するジヒドロテストステロン(DHT)が作られることも挙げられます。ジヒドロテストステロンは、男性ホルモンであるテストステロンが、毛包に存在する酵素の一種、5α-リダクターゼに反応することで作られます。
ジヒドロテストステロンは、アンドロゲンレセプターと呼ばれる男性ホルモン受容器と結合し、サイトカインの一種であるTGF-βを産生します。TGF-βは退行気を誘発する因子であるため、髪の毛の成長期を短縮します。
遺伝やストレスも発症の原因になり得る
AGAを発症する原因としては、遺伝やストレスも挙げられます。AGAの原因であるジヒドロテストステロンが遺伝によって活発度の変わる5α-リダクターゼによって産生されるためです。アンドロゲンレセプターの感受性も、遺伝によって左右されます。
遺伝的に5α-リダクターゼの働きが活発であり、かつ、アンドロゲンレセプターの感受性が高い場合、AGAの発症リスクが高まります。
ストレスはAGAの直接的な原因ではありませんが、ストレス状態が続くと自律神経のバランスが乱され、頭皮に送られる血液量が減少します。その結果、髪の毛の成長が妨げられ、薄毛のリスクを高めます。
自分でできるAGA診断
AGAには、その他の脱毛症とは異なる特徴があり自分でもある程度のチェックが可能です。男女別に自分でできるAGAのチェック法を紹介します。
男性用(AGA)
男性の場合、以下の項目に該当する点が多ければ多いほど、AGAを発症している可能性が高いと考えられます。
□頭頂部の地肌が透けて見えるようになってきた
□額の生え際が後退してきた
□額の生え際の両サイドが切れ込むように薄くなっている
□同じ年齢の男性と比べて髪の毛全体のボリュームが足りない気がする
□髪の毛が濡れたときに地肌が目立つようになってきた
□細くて柔らかい髪の毛が増えてきた
□以前に比べて頭の汗が顔に流れるようになってきた
□排水溝に詰まる髪の毛の量が増えてきた気がする
□父親や祖父に薄毛の方がいる
□脂っこい食品を好んで食べる
□飲酒や喫煙の習慣がある
□疲労や睡眠不足によるストレスの自覚がある
女性用(FAGA)
女性の場合、以下の項目に該当する点が多ければ多いほど、FAGA(女性男性型脱毛症)を発症している可能性が高いと考えられます。
□髪の毛全体のボリュームが減少してきた気がする
□分け目の部分に除いている地肌が広くなってきた
□ドライヤーをかけた後に、床に散らばっている抜け毛の量が増えてきた
□ヘアスタイルが思ったように決まらなくなってきた
□若いころに比べて髪の毛が細くなってきた
□頭皮のかゆみや赤みが気になる
□仕事や人間関係のストレスを抱えている
□冬だけでなく夏も身体が冷えている
□食事の栄養バランスがよくない気がする
□ダイエットをしては、リバウンドを繰り返している
□十分な睡眠時間が取れていない
□パーマやヘアカラーを頻繁に行う
□理由もなくイライラすることがある
AGAを自力で治すことができる場合
薄毛には、自力で治せる可能性があるケースと、自力での改善は難しいケースがあります。自力で治せる可能性がある薄毛は、原則として生活習慣の乱れなどが原因で発症します。
AGAを始めとした何らかの脱毛症を発症している場合は、原因を突き止めて適切に対処しない限り改善は難しいです。
生活習慣の乱れが原因で起こる薄毛を自力で治す方法
生活習慣の乱れが原因で起こる薄毛の場合、以下の点に気を付けることで、薄毛を自力で治せる可能性があります。
- 食事や睡眠などの生活リズムを改善する
- ストレスを減らし自律神経を整える
- 肌質に合わない・刺激の強いシャンプーは使わない
食事や睡眠などの生活リズムを改善する
生活習慣の乱れで抜け毛の量が増えている場合、食事や睡眠などの生活リズムを改善することが重要です。髪の毛は食べたものから作られているため、不規則な食事や、栄養バランスを欠いた食事は髪の毛の成長にも悪影響をおよぼします。
薄毛を改善するためには、髪の毛の元となる良質なタンパク質を摂取することが欠かせません。また、アミノ酸を髪の毛に再合成する亜鉛も積極的に摂取するとよいでしょう。
髪の毛を成長させる毛母細胞の分裂は睡眠中に活発化するため、睡眠時間の確保も欠かせません。質のよい睡眠を確保することも大切です。就寝前に入浴して身体を温めたり、スマホの閲覧を避けて脳の興奮を避けることで質のよい睡眠を得られます。
ストレスを減らし自律神経を整える
ストレスを減らして自律神経を整えることも、生活習慣による薄毛を改善する際に重要なポイントです。自律神経は交感神経と副交感神経から構成され、ストレス状態が続くと交感神経が優位に傾きます。
交感神経が優位に働くことで脳や身体のはたらきは活性化されますが、夜間まで交感神経が優位の状態が続くと自律神経が乱れる原因となります。
交感神経が優位になると血管が収縮するため、頭皮へと送られる血液量が減少します。その結果、髪の毛を成長させるための栄養が不足し、薄毛のリスクを高まります。
肌質に合わない・刺激の強いシャンプーは使わない
生活習慣による薄毛を改善する場合、肌質に合わない・刺激の強いシャンプーを使うのは避けましょう。市販のシャンプーの中には、髪の毛や頭皮にとって好ましくない成分を含む商品もあります。
とくに洗浄力の強すぎるシャンプーで洗髪すると、頭皮を守るべき皮脂まで洗い流され、頭皮バリアが失われます。皮脂はべたつきの原因として嫌われがちですが、頭皮を守るために必要な存在でもあるのです。
市販のシャンプーの目的は洗浄であり、頭皮ケアではありません。生活習慣による薄毛を改善するためには、頭皮ケアを目的とした、アミノ酸系のシャンプーを利用するのがおすすめです。
よくあるAGAの間違った自己流の改善法
抜け毛や薄毛が気になり始めると、自己流で対処する方もいます。インターネットのAGAの情報の中には次のような正確でない情報もあることを知っておきましょう。もあることを知っておきましょう。
・海藻を食べると髪の毛が生える
海藻に限った話ではありませんが、特定の栄養素だけを積極的に摂取したからといって、発毛の効果が得られることはありません。栄養素というものは相互に作用するため、バランスよくいろいろな栄養を摂取しなければ意味がありません。
・頭皮を叩くと髪の毛が生える
ブラシで頭皮を叩くなどすると、頭皮にダメージを与え、かえって髪の毛の成長に悪影響をおよぼします。頭皮の血行を促進するのであれば、指の腹で優しくマッサージする程度で十分です。
・育毛剤を利用する
育毛剤には髪の毛の成長をサポートする成分が含まれていますが、目的はあくまでも現在生えている髪の毛を強く成長させることです。AGAを発症している場合、育毛剤では発毛を促す効果が期待できません。
薄毛はAGAクリニックにて早期治療を行う
薄毛にはいろいろな原因がありますが、AGAに関しては適切な治療を行わない限り、徐々にかつ確実に薄毛が進行し手遅れな状態になります。そのため、AGA専門のクリニックを受診するのがおすすめです。理由としては以下の点が挙げられます。
- 専門の治療薬を使用することでヘアサイクルを元に戻すなどの効果も得られやすい
- 治療開始時期の遅れで回復率に大幅に影響がでる
専門の治療薬を使用することでヘアサイクルを元に戻すなどの効果も得られやすい
AGAの発症が疑われる場合、専門のクリニックで早期に治療を始めたほうがよいでしょう。その理由が、専門の治療薬を使用することで、ヘアサイクルを元に戻すなどの効果が得られやすいことです。
AGAにはいくつかの原因があるため、原因に合った治療薬を用いるのが重要です。ヘアサイクルを元に戻す場合、5α-リダクターゼのはたらきを阻害する、プロペシアやザガーロといった治療薬が用いられます。
AGAを発症する方には必ずといってよいほど、ヘアサイクルの乱れが見られるため、適切な治療薬でヘアサイクルを元に戻すことが欠かせません。
治療開始時期の遅れで回復率に大幅に影響がでる
AGA治療は、治療開始時期の遅れで回復率に大幅に影響がでるからです。AGAは進行型の脱毛症であるため、症状を放置すると確実に薄毛が進行します。
また、生涯に行われるヘアサイクルの回数には上限(およそ20~40回)があります。髪の毛の成長期が短縮され、ヘアサイクルの周期が短くなると、正常なヘアサイクルの場合と比べ、毛根の寿命が早く終わります。
毛根の寿命が終わった場合、治療を継続しても髪の毛が生えてきません。そのような事態に陥る前に、適切な治療を始めることが重要です。
AGA治療に関するご相談はベアAGAクリニックへ
AGAは男性に見られる代表的な脱毛症であり、徐々に進行するのが特徴です。生活習慣による薄毛であれば自力で治せる可能性もありますが、AGAの場合は適切な治療を受けない限り、自然に治るすることは期待できません。
できるだけ早めに治療を開始すれば、AGAの進行を遅らせたり、年相応の毛髪量を取り戻したりする効果が期待できます。ベアAGAクリニックでは初診料や再診料、血液検査を無料で行っています。
カウンセリングも無料で承っていますので、AGAの発症が疑われる場合や、抜け毛や頭皮に関する不安がある場合、なんでもお気軽にご相談ください。
執筆者:清水崇裕(ベアAGAクリニック院長、医師、医学博士)
薄毛治療実績1万人以上。薄毛治療以外の医学知識も豊富で、安全に配慮した治療を心がけています。美肌、シミ、シワ等も含めトータルなエイジングケアをサポート致します。最近髪が細くなってきた、頭頂部が気になる、髪が⽔に濡れてボリュームが減るのが恐い、など薄⽑に対するどんなお悩みでもお気軽にご相談ください。患者様の期待に応え、当院で治療を受けてよかったと⾔っていただけるようなクリニックを⽬指して参ります。
資格:医師・医学博士・放射線科専⾨医・⽇本医師会認定産業医・⽇本抗加齢医学会会員・⽇本医学放射線学会会員
薄毛にお悩みの方は必ずお力になります。ベアAGAクリニックにご相談ください。
ベアAGAクリニック院長 清水崇裕
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