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安全?危険?男性型脱毛症【AGA】治療薬の副作用を知ろう!
AGAの治療薬の成分としてよく知られているのは3つ。プロペシアに代用される「フィナステリド」、ザガーロに代表される「デュタステリド」、そして外用薬としては一般医薬品の中にも含まれている「ミノキシジル」です。最近は後発医薬品も出てきているので、比較的手に入れやすくなってきたAGA治療薬ですが、薄毛や抜け毛が気になりだした方の中には、副作用を気にしている方も多いと聞きます。この記事では、AGA治療薬の副作用について、成分別にご説明していきます。
AGA治療薬の副作用が出る可能性
AGA治療薬を使用すると、確かに副作用が出る場合があります。巷では「性欲の減退」「勃起不全」などという話も聞こえてきますが、実際のところはどうなのでしょうか?
「出現しやすい副作用の種類」「成分により出やすい副作用」、そして「副作用の出現頻度」も、これからAGAの治療を始めようという方には気になるところだと思います。
「出現しやすい副作用の種類」と「成分により出やすい副作用」については、このあと順番にご紹介するとして、AGA治療薬全体として比較的出現しやすい副作用は、やはり性機能に関するもの。ただ、発症率は非常に低く1パーセント前後です。
また、肝機能障害の副作用も報告されているものの、こちらも非常に確率は低くなっています。
これからご紹介する数値に関しては、この値よりも出現確率が高くなる場合も低くなる場合もありますが、臨床試験の条件自体がまったく異なるため、目安として捉えていただければ幸いです。
フィナステリドの副作用
フィナステリドという成分を含むプロペシアは、日本で初めてAGAの治療薬として認められた薬です。
フィナステリドは、元々は前立腺肥大の治療薬として世に出ましたが、その後の研究で髪の毛の成育に効果があることがわかり、AGA治療薬として認可されたという経緯を持つ薬です。
男性機能に関わる副作用
この薬は、「5-α還元酵素」の働きを阻害し、「ジヒドロテストステロン(DTH)」の生成を抑えます。このDTHは脱毛を進行させる厄介な悪玉男性ホルモンです。
フィナステリドがDTHを減少させると、体内の男性ホルモンの全体量も減ることになります。実はこれが副作用を引き起こす原因になる場合があります。
男性ホルモンの全体量が減ると、脳は「男性ホルモン量は十分だ」と判断します。この男性ホルモン量の減少が、性機能に関わる副作用だと考えられます。
メーカーの発表では、「性欲がない」「セックスをする気持ちになれない」「セックスの回数が減少」などの性欲に関わる副作用が発生する確率は0.2パーセント以下。「ED」「精液の減少」「射精障害」などの勃起や射精に関する副作用が発生する確率は0.1パーセント未満とされています。ただ、これらについてはストレスや加齢が原因となることも考慮する必要があるでしょう。
なお、日本皮膚科学会ガイドラインに記されている、フィナステリドを用いた観察期間2年の非ランダム比較試験では、性機能に関わる副作用は414名中1名に確認されたのみとなっています。
肝機能に関わる副作用
メーカーが発表している肝機能に関わる副作用が発生する確率は0.1パーセントです。フィナステリドを代謝するのは肝臓ですが、この機能が落ちることで代謝しきれなくなり、肝臓に炎症が起こる…これが副作用が起こるメカニズムです。肝臓は体に必要のない成分をこしたり、栄養分をエネルギーに変換したりする重要な場所ですが、異常が起こってもなかなか気づきにくい臓器です。目に見えるサインとしては黄疸、自覚が可能な症状としては食欲喪失やだるさなどが挙げられます。また、肝機能に関しては、体質的な部分もあるので、すべての使用者の肝機能障害が、フィナステリドに関わりがあるというのも無理な話です。実際、0.1パーセントという非常に低い出現確率ですし、日本皮膚科学会ガイドラインでも「まれに肝機能障害が現れることがある」との記載となっています。
そのほかに起こりうる副作用
そのほかに起こりうる副作用として挙げられるのは、「乳房の女性化」「抑うつ」「アレルギー」などの症状です。
ただ、ほかの副作用の症状と同じく、フィナステリド(プロペシア)によって引き起こされた症状なのかどうかははっきりしません。
皮膚科学会ガイドラインでは、比較試験において胃腸炎と大腸ポリープを発症した例について触れていますが、フィナステリドによるものなのかどうかは不明としています。
また、副作用とは異なりますが、フィナステリドを服用すると、前立腺がんの診断の指標となるPSA濃度が下がってしまうため、服用中に前立腺がんの検査を受ける場合は、医師にフィナステリドを服用していることを伝える必要があります。
フィナステリドの禁忌
女性と未成年は服用厳禁です。
特に妊娠中や妊娠の可能性がある女性、授乳中の女性は、赤ちゃんの発育に悪影響を与える可能性があるため、絶対に避けてください。
皮膚からも吸収されるので、女性が素手で触れることも厳禁です。
デュタステリドの副作用
デュタステリドは、プロペシアに代表されるフィナステリドと基本的には同じシステムでAGAの原因因子を減らし、ヘアサイクルを元に戻す働きをする成分です。
大きな違いは、フィナステリドがⅡ型5-α還元酵素の働きを阻害するのに対し、デュタステリド(ザガーロ)はⅠ型とⅡ型の5-α還元酵素の働きを阻害すること。
これは効能の違いとしても現れます。Ⅰ型の5-α還元酵素は、側頭部や後頭部、全身の皮脂腺に存在する傾向があり、Ⅱ型の5-α還元酵素は、前頭部や頭頂部を中心に存在する傾向があります。
そのため、たとえばフィナステリドで期待されるような薬効がみられなかった場合に、デュタステリドに変更すると、効果が出てくる、といったケースもあります。
メーカーの臨床試験による副作用報告
デュタステリドを主な成分とするザガーロを製造しているメーカーでは、臨床試験の結果から「肝機能障害」「性機能不全」などが起こる可能性があるとしています。
肝機能障害は、黄疸などの症状を伴うことがありますが、発症してもなかなか気づきにくいため、肝臓が生まれつき弱いという方は、まずは専門の医師に相談することをおすすめします。
ただ、この成分を服用することで肝機能障害が起こる確率は、極めて低いと考えていいでしょう。
性機能不全の副作用は注意が必要
デュタステリドは、比較的高い確率で、なんらかの性機能不全を感じる服用者が多いようです。皮膚科学会ガイドラインでは、国際臨床試験の結果を引用する形で数値を表記しており、リビドー(性欲)減少が3.3%、勃起不全が1.1%、射精障害が3.3%となっています。
国内で行われた非ランダム試験でもリビドー減少が8.3%、勃起不全が11.7%、射精障害が5%と高めの数字が出ていることから、皮膚科学会ガイドラインでは医師に処方の際の十分な説明を求めています。
ほかに性機能が関わると考えられる副作用には、乳房の女性化、精巣痛、精液の変色などが挙げられますが、確率の高いものではありません。
そのほかの副作用
デュタステリドに関わるとみられるそのほかの副作用には、発疹、かゆみ、アレルギー、蕁麻疹、腹痛、下痢、抑うつ、神経過敏などが挙げられますが、どれもほかの薬との飲み合わせや、精神的なことが関わることも多く、一概にこの薬の副作用と言い切れるものではありません。
もちろん、これらの副作用は確率を見てもわかるとおり、すべての服用者に起こるわけではないので、過度に恐れる必要はまったくありません。
ただし、すでになんらかの持病を持っている場合は、カウンセリングの段階で持病について医師に伝えておく必要があります。
デュタステリドの禁忌
フィナステリドと同様に、女性、特に妊婦や妊娠の可能性がある方、授乳中の方は服用してはなりません。未成年、肝機能障害を持つ方も服用不可です。
ミノキシジルの副作用
ミノキシジルは、高血圧治療のための降圧剤として開発された薬ですが、その後に発毛効果があることがわかり、脱毛症や薄毛の治療に使われるようになりました。
元々は降圧剤なので内服タイプでしたが、最初の脱毛治療薬は外用薬タイプでした。現在は、日本で市販されているミノキシジル含有製品はすべて外用薬です。病院やクリニックでも外用薬がメインですが、内服タイプのミノキシジルを取り扱っているところもあります。
ミノキシジルは、これまでにご紹介した2つの薬効成分とは異なるシステムでAGAなどの症状に作用します。ミノキシジルは、頭皮の毛細血管を広げることで血流を改善し、毛根に栄養が行き渡るようにしてくれます。
これにより毛母細胞が活性化して新しく髪の毛を作り出すようになります。頭皮環境が改善されるので、次第に短縮されていたヘアサイクルが元に戻り、健康な髪の毛が育つようになる…というのがミノキシジルの基本的な脱毛症治療システムです。
ミノキシジルの使用による副作用についてですが、これは外用薬と内服薬で大きな違いがありますので分けてご紹介していきます。
ミノキシジル外用薬の副作用
ミノキシジル外用薬は、外用薬という性格上、目立った副作用はありません。ただ、頭皮のかぶれやかゆみといった症状が起きることはあります。
これは薬の成分へのアレルギー反応であり、出現確率については「人それぞれ」としか言えません。ミノキシジルの外用薬は、市販品も数多く販売されていますので、非常に安全度は高いといえるでしょう。
ちなみにミノキシジルを使用し始めてしばらくすると抜け毛が増えることがありますが、これは初期脱毛と呼ばれるもので、薬効が現れている証拠なので心配はいりません。
ミノキシジル内服薬の副作用
外用薬はひじょうに安全度の高いミノキシジルですが、内服薬は医師の管理の下で正しく服用しないとかなり危険度が高いので注意が必要です。
ミノキシジルは元々は降圧剤なので、血管を広げる働きを持っています。そのため、血管や血圧に関する副作用が出やすいことが特徴です。
むくみ、めまい、立ちくらみ、動悸や息切れ、うっ血性心不全、体重増加、心拍数増加といった症状は、外用薬のミノキシジルでは出現しません。また、体毛が異常に濃くなるという副作用もまれに起きているようです。
ミノキシジル内服薬で懸念される副作用はまだあります。肝臓への影響です。
ただ、これについては確固たる試験結果があるわけではないので、「否定はできない」としか言えません。肝臓に持病を抱えている方は、病院やクリニックにかかる際に必ず報告してください。
報告されている症例は少ないものの、ミノキシジル内服薬を過剰に服用してしまったために心筋梗塞を発症してしまった例もあります。
過剰に服用すると血管が広がりすぎてしまい、血管壁から出血が起こり、心筋梗塞を引き起こすことが実験により証明されています。
ミノキシジル内服薬は、海外でのみ販売されていて、一般の方でも個人輸入で手に入れることは可能です。しかし、この薬に関しては有用性についての臨床試験が行われているわけではありません。
ご紹介したように危険な副作用が起こる可能性も否定できませんので、素人が扱うことは問題があります。専門の病院・クリニックに相談し、医師の処方による場合を除いては、リスクが大きすぎるといえるでしょう。
AGA治療薬を医療機関で処方してもらうメリット
ここまでご紹介してきたとおり、AGA治療薬には多かれ少なかれ、副作用があります。AGA治療薬を手に入れるだけなら、現在はインターネット経由で個人輸入することもそれほど難しくはないのですが、副作用のことを考えると、危険だといわざるを得ません。
薬を安く手に入れられたとしても、副作用という代償を払うのでは意味がありませんので、あとのこともしっかり考えて、初めから専門の医療機関にかかりましょう。ひとりで薬だけ服用していると、気づける副作用にも気づけずに余計な治療費を払う羽目になることもあります。
健康に勝るものはありません。専門の医療機関でAGA治療薬を処方してもらうメリットはたくさんあります。
アフターケアがある
専門の医療機関に通い、治療薬を処方してもらう場合は、もしも副作用が出現してしまったとしても、あきらかにAGA治療薬によるものだと認められれば、適切なアフターケアが提供されます。自分で輸入した薬により重大な副作用が出てしまった場合は、すべて自己責任となってしまいます。
カウンセリングと問診
専門の医療機関に通って治療する場合、健康状態や病歴、服用している薬などについて医師が確認するカウンセリングや問診があるので、人それぞれ、自分に合った形の治療を受けられます。
安全な治療を受けるとという意味でも、このセッションはとても大切です。
頭皮診断
多くの専門医療機関では、マイクロスコープを使って頭皮の状態を確認します。マイクロスコープは、頭皮部分を拡大して、外から見ただけではわからない部分をチェックできる優れた機械です。これにより、AGAを初期段階で見つけることができるので、早期治療につなげることができます。また、医師がマイクロスコープの画像を見せながら頭皮や髪の毛の状態について詳しく説明してくれるので、患者さんとしても治療にどう向き合っていけばよいか、より簡単に理解できるようになります。
ほかの内服薬を出してくれる
メインとなるAGA治療薬は、ご紹介している3種類ですが、それら以外にも医療機関により、治療の補助に役立つ内服薬を処方してくれる場合があります。これらは主に髪の毛の健康を保つための成分で、たとえば「ビタミンB2」や「ビタミンB6」「ビタミンB7」などのビタミンB群は、毛母細胞の働きをよくして髪の毛の成長を手助けしてくれます。また、髪の毛を構成しているケラチンを生成する亜鉛のサプリメントなどもあるので、診察の際に医師にたずねてみるといいでしょう。
まとめ
AGA治療薬の副作用についてご説明してきました。フィナステリドや、デュタステリドは実績もあり、安全性の高い成分です。
また、これらとは作用の仕方が異なるミノキシジルも外用薬に関しては高い安全性を誇ります。重篤な副作用が懸念されるのはミノキシジル内服薬です。
こちらは心筋梗塞などにつながる可能性があるので、専門の医師に処方してもらう場合を除き、服用すべきではありません。いずれにしても健康は何よりも優先されます。
AGA治療を始めるなら、まずは専門の医療機関にてカウンセリングを受けましょう。AGAが手遅れな状態になる前に早期での治療をおすすめします。
執筆者:清水崇裕(ベアAGAクリニック院長、医師、医学博士)
薄毛治療実績1万人以上。薄毛治療以外の医学知識も豊富で、安全に配慮した治療を心がけています。美肌、シミ、シワ等も含めトータルなエイジングケアをサポート致します。最近髪が細くなってきた、頭頂部が気になる、髪が⽔に濡れてボリュームが減るのが恐い、など薄⽑に対するどんなお悩みでもお気軽にご相談ください。患者様の期待に応え、当院で治療を受けてよかったと⾔っていただけるようなクリニックを⽬指して参ります。
資格:医師・医学博士・放射線科専⾨医・⽇本医師会認定産業医・⽇本抗加齢医学会会員・⽇本医学放射線学会会員
薄毛にお悩みの方は必ずお力になります。ベアAGAクリニックにご相談ください。
ベアAGAクリニック院長 清水崇裕