ミノキシジルは、発毛の促進および乱れたヘアサイクルを改善する効果が期待されているAGA治療薬です。 血管拡張作用があるため、もともとは高血圧患者の治療薬として使用されていました。
副作用として多毛が認められたことにより、国内では頭皮に直接塗布する外用薬のみAGA治療薬として認可されていますが、ミノキシジル内服薬・外用薬の使用により副作用が起きる場合があります。
ミノキシジルの効果と具体的な副作用、安全に使用するための注意点を詳しく解説します。
目次
ミノキシジル内服薬・外用薬の効果とAGAへのはたらき
ミノキシジルには血管拡張作用があり、「発毛の促進」や「ヘアサイクル改善」の効果が期待されています。 種類は塗り薬である外用薬と、飲み薬である内服薬の2つです。
このうち国内でAGA治療薬として認められているのは「塗り薬」の外用薬のみで、日本皮膚科学会が策定する薄毛の診療ガイドラインにて、発毛の促進およびヘアサイクルの改善効果が証明されています。
- 男性300名を対象に国内で行われた24週間の試験結果
1%のミノキシジル外用薬を利用した群 | 非軟毛数が平均で21.2本増加 |
5%のミノキシジル外用薬を利用した群 | 非軟毛数が平均で26.4本増加 |
(※数字は1㎠あたりの、ベースラインからの非軟毛数の増加を示しています。非軟毛の増加は発毛効果と同義です)
- 女性280名を対象に国内で行われた24週間の試験結果
プラセボの群 | 非軟毛数が平均で2.03本増加 |
1%のミノキシジル外用薬を利用した群 | 非軟毛数が平均で8.15本増加 |
内服薬は厚生労働省の許可を得ていないため、効果や副作用に関しては臨床試験が実施されていません。服用する場合は、医師による診察や処方箋が必須です。 安全に治療をスタートさせるため、必ずAGAクリニックへ相談しましょう。
参考:AGA治療で効果がないと感じる原因や対処法について解説
ミノキシジル外用薬の副作用
ミノキシジル外用薬の主な副作用は以下の通りです。
- 初期脱毛
- 皮膚トラブル
- 頭痛やめまい
順番に解説していきます。
初期脱毛
ミノキシジルには短くて細い毛を成長期の髪の毛が押し出すはたらきがあるため、一時的に抜け毛が増加する場合があります。AGAの症状が急激に進行したわけではありません。個人差はありますが、AGAの投薬治療による初期脱毛は服用開始から数週間後に発症し、1ヶ月〜3ヶ月ほどで落ち着くケースが多いです。
ただし、抜け毛があまり見られない方もいるため、初期脱毛はAGA治療薬を使用したからといって必ず起こるわけではありません。
参考:AGAが「発症したら終わり」といわれる理由を解説
皮膚トラブル
ミノキシジルを使用すると、肌質や体質によっては皮膚トラブルが起こる場合があります。 具体的な皮膚トラブルは以下の通りです。
- ミノキシジルを成分に含む市販薬「リアップX5」のモニター3,072件の結果
かゆみ(適用部位そう痒感) | 123件 |
発疹 | 43件 |
皮膚炎 | 33件 |
フケ(頭部粃糠疹) | 33件 |
赤み | 31件 |
頭皮に直接塗布する外用薬による副作用はあるものの、転帰未回復および転帰不明を除き、回復が確認されています。いずれも重篤な副作用は報告されていません。
参考:厚生労働省「ミノキシジルのリスク区分について」
参考:AGA治療は一生続けるべきか解説
頭痛やめまい
少数ではありますが、ミノキシジルの血管拡張作用により血流が促進され、頭痛やめまいを発症する場合があります。
ミノキシジルのリスク区分のモニター調査3,072件のうち、頭痛10件・浮動性めまい6件・体位性めまい1件の副作用が報告されています。
ミノキシジル内服薬の副作用
ミノキシジル内服薬の主な副作用は以下の通りです。
- 初期脱毛
- 多毛症
- 肝機能障害
- 動悸・息切れ
- 手足や顔のむくみ
順番に解説していきます。
初期脱毛
ミノキシジルの内服薬を服用した場合も、初期脱毛の症状が表れることがあります。原因は、短くて細い毛が成長期の髪の毛によって押し出されるようにして生え変わるためです。
短ければ1ヶ月ほど、長ければ3ヶ月ほど続きます。ただし、AGA治療薬による初期脱毛は時間の経過とともに落ち着くため過度に心配する必要はありません。
多毛症
ミノキシジルの服用により、毛髪だけではなく、全身の体毛が濃くなる場合があります。治療の効果が表れ始めている証拠なので、過度に心配する必要はありません。
ただし、時間が経っても症状が治まらない時は、AGAクリニックに相談してみましょう。他の治療法を提案してもらえる場合があります。
肝機能障害
ミノキシジル内服薬の副作用の1つが肝機能障害です。ミノキシジルは肝臓で代謝されるため、負担がかかる場合があります。 AGAクリニックでは事前に血液検査を行い、その結果をもとに処方してもらえます。
肝機能障害を起こすリスクをできるだけ下げるために、まずはAGAクリニックに相談しましょう。 外用薬の場合、肝機能障害のリスクはそこまで高くありません。
動悸・息切れ
ミノキシジルはもともと高血圧患者の治療薬として使用されていたため、動悸や息切れなどの副作用が起こる可能性があります。 動脈を収縮させて細動脈を弛緩させる作用が、人によっては冠動脈まで弛緩してしまうためです。
この結果、心臓に十分な血液が送られず、酸欠状態を招きかねません。 特に血圧が不安定な方や心臓疾患がある方などは、心機能障害や不整脈を悪化させる場合があるので注意が必要です。
手足や顔のむくみ
ミノキシジル内服薬の服用により、手足や顔にむくみが起こる場合があります。 ミノキシジルの血管拡張作用は動脈にのみはたらくため、手足など末端部の血行が悪くなることが原因です。
稀な副作用ではありますが、心臓に不安がある方は事前にAGAクリニックへ相談しましょう。
ミノキシジル外用薬の副作用が起きる確率
厚生労働省が行った調査によると、ミノキシジル5%を含む外用薬において、副作用の発現率は3,072例中271例 (8.82%)、378件でした。 使用上の注意から予測できた副作用のうち、重篤な副作用は報告されていません。
また、予測できない副作用についても、入院を必要とした重篤な副作用は「心不全」の1件のみでした。 いずれも重症化するリスクは低いですが、副作用が長引く際は使用を中止し、AGAクリニックへ相談しましょう。
内服薬については試験が行われていないため、具体的な副作用の確率はまだ証明されていません。
参考:厚生労働省「ミノキシジルのリスク区分について」
ミノキシジル使用上の副作用以外の注意点
ミノキシジル使用上の副作用以外の注意点は、以下の通りです。
- 用法用量を守る
- 年齢制限を確認する
- 循環器系に疾患がある方は医師へ相談する
- 他の薬品との併用に注意する
- 妊娠の可能性のある女性は服用を避ける
それぞれについて解説します。
用法用量を守る
ミノキシジルは用法用量を守って使用しましょう。ミノキシジル外用薬の使用は原則として1日2回、1回2mlが定められています。 量と効果は必ずしも比例しないため、必要以上の使用で副作用を招かないように使用方法を厳守してください。
ミノキシジル内服薬は国内未承認なので、用法用量に決まりはありません。AGAクリニックの指示に従いましょう。
参考:厚生労働省「ミノキシジルのリスク区分について」
年齢制限を確認する
ミノキシジルを使用する際は、年齢制限を確認することも大切です。 ミノキシジルは20歳未満の未成年は使用できません。長期間の使用が前提のAGA治療薬ですが、10代の体にどのような影響を及ぼすのかまだわかっていないためです。
「もうすぐ20歳だから」と自己判断で使用するのはやめましょう。
参考:大塚製薬「ミノキシジルの使用に年齢制限はあるのか?」
循環器系に疾患がある方は医師へ相談する
循環器系に疾患がある方は、ミノキシジル使用前に医師へ相談しましょう。 ミノキシジルはもともと降圧剤として使用されており、肝臓で代謝される薬です。
循環器系に疾患がある方が自己判断で使用を開始した場合、心筋梗塞や不整脈などのリスクを招きかねません。 まずはAGAクリニックで検査を行い、医師の診察を受けてから治療するか否かを検討しましょう。
他の薬品との併用に注意する
ミノキシジル内服薬を他の薬品と併用する際は、必ず事前にAGAクリニックで相談しましょう。 ミノキシジルには降圧効果があるため、例えば高血圧治療薬を内服している場合は効果が過剰に表れてしまうケースがあります。
また外用薬の場合も、組み合わせによっては皮膚トラブルにつながる可能性もあります。ミノキシジルと他の薬品と併用する際は、まずはAGAクリニックで相談しましょう。
参考:AGAの手遅れな状態について解説
妊娠の可能性のある女性は服用を避ける
妊娠の可能性のある女性はミノキシジルの服用を避けましょう。ミノキシジル外用薬は男女ともに発毛効果が証明されており、日本皮膚科学会が策定する薄毛の診療ガイドラインにおいてもAGA治療薬として推奨されている一方、身体への負担が大きい薬でもあります。
ミノキシジルは妊娠中の母体や胎児への安全性が確立されていない治療薬のため、服用によるリスクが伴います。妊娠の可能性がある場合は、ミノキシジルの服用をやめてAGAクリニックで医師に相談してください。
ミノキシジルの使用は最低6ヶ月が目安
ミノキシジル外用薬の効果を実感し始めるまでには、最低でも6ヶ月は必要です。 ミノキシジルを成分に含む市販薬「リアップX5」の医師による評価は以下の通りです。
- ミノキシジル5%製剤の長期投与試験結果 4週~12週(n=49)、16週~24週(n=48)、28週~40週(n=47)n:被験者数
軽度改善 | 中等度改善 | 著明改善 | |
16週後 | 70.8 | 10.4 | – |
20週後 | 54.2 | 37.5 | – |
24週後(約6ヶ月) | 41.7 | 47.9 | 2.1 |
28週後 | 29.8 | 61.7 | 2.1 |
32週後 | 29.8 | 63.8 | 2.1 |
中等度改善は24週〜28週の割合が最も大きく、著明改善はおおよそ6ヶ月後から数値に表れています。 ミノキシジルを自己判断により中断した場合は、十分な効果が得られません。
最低でも6ヶ月は使用を継続しましょう。 ただし、継続中に副作用が起きた場合は、一度AGAクリニックで医師に相談してください。
参考:AGAを自力で治すことは可能かどうか解説
ミノキシジルの副作用についてのご相談はベアAGAクリニックへ
ミノキシジルは、発毛の促進および乱れたヘアサイクルを改善する効果が期待できます。日本皮膚科学会が策定する薄毛の診療ガイドラインにおいても、外用薬の推奨度は最も高い「A」です。 しかし、使用することで皮膚トラブルやめまいなどの副作用が起きる場合もあります。
使用上の注意から予測できた副作用のうち、重篤につながった症例は報告されていませんが、不安を感じた方はベアAGAクリニックまでご相談ください。
ベアAGAクリニックではミノキシジルの外用薬・内服薬、それ以外の治療法も豊富に取り揃えています。今の治療法が体に合わない場合は、他の最適な治療法もご提案します。まずは気軽に当院までお問い合わせください。
執筆者:清水崇裕(ベアAGAクリニック院長、医師、医学博士)
薄毛治療実績1万人以上。薄毛治療以外の医学知識も豊富で、安全に配慮した治療を心がけています。美肌、シミ、シワ等も含めトータルなエイジングケアをサポート致します。最近髪が細くなってきた、頭頂部が気になる、髪が⽔に濡れてボリュームが減るのが恐い、など薄⽑に対するどんなお悩みでもお気軽にご相談ください。患者様の期待に応え、当院で治療を受けてよかったと⾔っていただけるようなクリニックを⽬指して参ります。
資格:医師・医学博士・放射線科専⾨医・⽇本医師会認定産業医・⽇本抗加齢医学会会員・⽇本医学放射線学会会員
薄毛にお悩みの方は必ずお力になります。ベアAGAクリニックにご相談ください。
ベアAGAクリニック院長 清水崇裕
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